ブロッター

ブログとツイッターを混ぜて、さらに異論、反論、オブジェクションで固めたものです。で、ブロッターというわけです。毎日書く暇も能力もないので、不定期のコメントです。

2020/冬 comment
ブロッター1  東京の地下の秘密の本。だが不思議な地図だ。巨大な上水と下水がある街?まさか疫病と関連があるとは!!
 なにせ地図の話である。それも明治期の森鴎外が描いた帝都は粗雑さが目立つ。間違いなのか暗示なのか?!
 森鴎外といえば、古今東西の知識に通じた碩学、軍医総監で文学博士、漢籍に強いうえにドイツ語が堪能、漱石のように留学でノイローゼになるどころかドイツ語で女性が口説けるというすごい能力の持ち主である。
 鴎外は「帝諡考」も「天皇は万世一系ではないぞ!」という秘密まで暴いていて、下手をすると宮内庁の逆鱗に触れる
 森鴎外はなぜドイツに留学したか。鴎外の専門は最先端を行く「公衆衛生学」だったのである。当時、疫病は人と人の接触で伝染し、防ぎようがなく、流行が終わるのを待つよりなかった。
 ところがだ。ドイツの研究者・ペッテンコーファーが「下水道を整備すれば感染を抑えられる」と言い、ミュンヘン市が下水をつくったところ劇的に感染が解消したのである。
 彼は東京の地下を調べ始める。教室の廊下ほどの巨大な地下水路をいくつも発見したにちがいない。鴎外は頭がいいから、軍事機密までは話さなかったのだろう。東京の地下の秘密通路をみたくなる。
ブロッター2  知人が茨木のり子の「汲む」を引いて、「すれっからしにならないよう、いい仕事の核には繊細な震える弱いアンテナがなければいけない」と。初心忘れず!これは反省。で、手元にあった茨木のり子詩集「自分の感受性くらい」を広げたら、さらにまいった。ちゃんと仕事をせねばなぁ。
   「自分の感受性くらい」茨木のり子
    ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな
    みずから水やりを怠っておいて 気難しくなってきたのを
    友人のせいにはするな しなやかさを失ったのはどちらなのか
    苛立つのを近親のせいにはするな なにもかも下手だったのは私
    初心消えかかるのを 暮らしのせいにはするな
    そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
    駄目なことの一切を 時代のせいにはするな
    わずかに光る尊厳の放棄 自分の感受性くらい
    自分で守れ ばかものよ
 かなり些末なことにこだわっていた自分がいた・・・・世の中は見たい、食べたい、手に入れたいの花盛り、「自由」は「勝手」に変わってしもうた。心の欲する所に従えども、矩を踰えず で行こうと思う。
ブロッター3  天然痘や麻疹が人から人へのウイルス伝染だと見抜き、「体内の生気が毒気と戦う。一度、治ると再びの感染がなく罹(かか)った人を看護要員にせよ!(断毒論から引用)」と断じた医師がいた。山梨の漢方医・橋本白寿。天声人語に紹介されていた。医師・吉岡正和先生が発掘・紹介した本だが、私家版のような本。
 200年以上前、ウイルスもワクチンも知らない時代に試行錯誤で疫病の正体を見抜いた医師が、こんな山国・甲州にいたとはおどろき。
 「離島や山の中など感染しにくい場所に隔離所をつくれ」とまで言っている。「避ければ免れ、避けざれば冒される」、あたりまえのようだが、200年以上前は祈祷やおまじない、よくやったところで薬草程度で疫病に向き合っていたのだからものすごい発見です。「ファクト」や「エビデンス」もいいが、いくら集めても対策にならないのでは話にならない。
 少しも治療薬のことが話題になりませんが・・・。山梨県出身のノーベル賞受賞者の大村智さんのイベルメクチンは効かないのですかね。昔も今もお医者さんはがんばっておられます。
 ま、中には寿司デートしたり政党の支援パーティに出る不心得なお医者さんもいますが、医は算術ではなく仁術であってもらいたいものです。
   

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