ブロッター

ブログとツイッターを混ぜて、さらに異論、反論、オブジェクションで固めたものです。で、ブロッターというわけです。毎日書く暇も能力もないので、不定期のコメントです。

2011/盛夏 comment
ブロッター1  最近の世の中を見て、「日本人が壊れ始めた」と思う人は少なくないと思う。とにかく矛盾していることが平気で言われ、行われる。子どもが見て、聞いてもオカシイ!と思うようなことが起こる。これは、柳田さんが指摘するように、怒涛のごとく生活の中に入り込むケータイやネットなどに日本人が依存しすぎたからだろう。で、精神が壊れる。精神が壊れれば行為も言葉も壊れる。狂人の言葉や行動が異常なのは、心が壊れているからである。  しかし、依存で精神が壊れるのは分かるにしても、なぜ依存が起こるかがわからない。依存は、もともと日本人にある体質なのではないか。お上がなんとかしてくれる。誰かが何とかしてくれる。自分からは何もしない。物事は享受するだけ。「してくれるから受ける」というのは、もともとの体質なのだと思う。いつの時代に、どのような文化がそれを醸成したかは知らない。しかし、受けた恩を返すこともなく人を手助けすることもなく、恩恵だけを受けることに慣れきったとき、人は何かにぶら下がって生きるだけになる。人ならいい。ネットやケータイは救い上げてくれないし、精神を奈落の底に追い落とすことさえする。えっ、「おまえだってケータイ持ってるだろ?」ですって! 私、お金ないのでケータイ持ったことないですよ。
ブロッター2  私は小学校中学年から高学年にかけて昆虫少年だった。朝から弁当を持って捕虫網片手に草原から雑木林を駆け巡った。まったく飽きもせずに動いた。遠くに出かけて迷子になったことさえあった。こういう少年は昔も今も山ほどいる。いや、今はほとんどいないか。親も過保護、世の中も安全ではない。だから、そんな子はいないだろうね。  私の場合、幸い中学になると関心は他へ移った。だから、この小説にあるような砂が押し寄せる村に迷い込まず、蟻地獄の主のような女に捕まって一生働かされるような人生を辿らなかった。ふつうの女と結婚して、あくせくしながら二人の子どもを育てて、やっと老人になった。まあね。この本を、きちんと思春期に読んでいるんだから大丈夫。妙な女にフン捕まって、生活のために自分を押し殺して生きるなんてトンデモない。どうだ、ざまぁ見ろ。これが読書の成果というものよ。  で、同世代が退職し始めて、頻繁にやって来て、人生振り返りの話に花が咲く。その多くは自慢話・・・子どもには教育投資をして、高給取りにして・・・  自分は年金で安泰。うらやまなしいなぁ。こっちは、退職など出来ずに、この年になっても女房から「こうしろ!」、「ああしろ!」・・・貧しいがゆえの馬車馬労働。・・・いや、まてよ。これって「砂の女」状態になってるじゃん。
ブロッター3  タイムリーな本です。14年前の事件だが、原発事故で東電帝国の実体が見えてきた、この時期では読むのに適した一冊だ。DNA鑑定でも、7月に新たな疑惑が見つかり、容疑者のネパール人が冤罪である可能性も強くなった。その意味でもタイムリーな本である。それにしても、この執拗なルポはすごいですね。坂口安吾の「堕落論」を軸に展開する高学歴一家の悲劇・・・東電の隠蔽体質がここでも出てくる。お金と欲望のハケ口として登場するファザーコンプレックスの被害者OL・・・現代の怪談とも思える闇の中に真実は見えない。大平元首相の三男は、関与しているのかいないのか・・・・。  見えるのは、渋谷の円山町の暗闇で、高度成長の裏側が展開していた事実だけ。それにしても、彼女のお父さんが私の高校の先輩だったとは! その人は東大に入り、東電の送電畑で百億、二百億の金を動かす活躍をして52歳で早世、その後に続いて東電に入った娘は・・・まったく不可解な人生の終わりを迎える。これが、この事件だ。私は同じ高校を出たが、東大など夢のまた夢で、娘もエリートOLにはなれず、・・・でも、それが良かったわけで、貧しいが悲劇的な人生にはなっていない。良かった、良かった、頭が悪くて・・・!
   

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