ブッククラブニュース
令和3年
2月号(発達年齢ブッククラブ)

来店受け取りのお客様へ

 コロナ対応について
 山梨でもかなり広域的に感染増加!
 どうぞ感染予防には注力をお願いします。
 急激な拡大変化あった時にはお願い条項を貼りだします。
 お子様のマスクは強制しません。
 マスク着用はお顔が判別できないので、お名前をお願いします。
 土曜日は混雑するため飲み物サービスは中止します。
 通常日も密になったら、飲み物サービスは中止いたします。
 念のため消毒・換気もしますが気になさらないでください。
 受け取り可能時間(10:30am〜18:00pm冬時間)です。
発送切り替えも可
 発送も可能です。その際は県外会員と同じく3ケ月一括発送になります。
 ご利用ください。発送のご相談は メールでも受けつけます。
 お振り替えは郵便ATMか銀行振込のどちらかをご利用ください。
 ご理解のうえご協力ください。
 ゆめや店主 2月1日

春は必ず来るものです・・・

 去年のいまごろはどこにもなかった不安が、いま先行きが見えない不安で覆われている感じがあります。治安が悪くなっているのはほんとうのようで、事件や事故が次々と起こる一方で、確かなものがますますわからなくなっています。事件・事故、気を付けてくださいね。巻き込まれないように・・・・。
 心が休まらない「不安の時代」ですが、それも五輪や経済を追い求めた結果でしょうか。いつ爆発するかわからない「不機嫌」をみんなが抱えるようになりました。政治って、危機の時こそ大切だとわかります。
 コロナがみんなの共通根を分断して対立させています。このままいくと世の中はかなりまずい状態になりますよ。人と人を結ぶ接着剤を使わないと大変なことになります。デジタル化なんかで切り抜けられるものでありません。その弊害の方が大きくなって、ますます人と人が離れていくでしょう。

SNSによる混乱

 どうも、この現象は世界的なもので、SNSの影響力で自粛警察や反自粛デモも出てきました。「コロナはただの風邪」と言う団体も出てきて、ひどい場合は「秘密組織の陰謀」だなどと語る人々もいます。
 欧米では、「コロナ否定論」は似非科学や陰謀論への盲信が公衆衛生の危機になると警戒されてます。だいたい、国が進めるワクチンも安全かどうかさえよくわからないのです。情報が不透明だからです。
 そうなると混乱に乗じて「災い転じて福となす」なんて楽観論も出てきます。「コロナは人類を霊的進化に導く宇宙の計画」とまで言う人が出現、そこでは「コロナは聖なるお告げ」とさえなっています(笑)。
 情報洪水の中では、何が正しく、何が嘘かがわかりません。昔、「情報が多いほど選択肢が増えて自由度が大きくなる」なんて言った人がいましたが、逆ですね。人には選択する力もなければ、あっても多すぎて分析できない・・・・SNSのつくった世界とはこういうものです。けっきょく、個人の判断ができなくなりAIに頼ることになります。
 SNSで主張だけする人たちは、この無責任が横行する時代を背景に無料の機能を使って、平気で自己主張をします。一方では言論の自由を掲げながら、言いたい放題を言う。

抽象的な現実から具体的な生活へ

 こういう自己主張や分断は、現代人の育ち方と生活に関+係があるのではないかと個人的には思っています。上限が50歳代で、下は10代後半ですが、主力は40歳代以上。この世代は生活が抽象的になった時代を生きてきました。
 50年前、肉や魚は肉屋や魚屋でさばいていましたし、遊び道具から生活用具まで作ったり直したりするものでした。我が家ではニワトリを飼っていて、食べるときは父が絞めていた光景が目に浮かびます。
 それが急に消費の拡大で、いまでは作られた料理・食材を買っているわけです。スイッチをポンと押すと結果が出る生活。マッチもいらず、フライパンもいらず、物になかなか触れて育ってこなかった人の生活が生み出した主張が、すべてを議論だけにして、頭の中だけの出来事に変えてしまうわけです。「表現の自由」の誤った解釈で世の中が混乱しているわけです。

人の命を軽んじている?

 主張の根拠(エビデンスなんていう)もネットから取ってきた都合の良いデータだけにする。データは「生」や「死」まで数値で抽象化されていますからね。これでは生身の人や現実に気持ちが向かなくなります。幼い時から非現実な「快適なもの」ばかり見ているとどうなるか、と同じです。 バーチャルな世界と単純な考え・・・これが進む世界は、こわいと思います。こんなことを子どもがデジタル化教育の名のもとに始めています。元をただせば作り過ぎの半導体を裁くだけのことですが、もはや売れないので学校で配布です。これに教師たちはまったく批判もなく、唯唯諾諾と受け入れているのですからお話になりません。さあ、この結果が経済の破綻とともに出てきますよ。
 とはいえ、昔には戻れません。少しでも生活を具体的にしないと子どもは最初から画像情報に慣れてしまいます。種をまいて植物を育てる、物が腐るということを見せる、動物を飼う・・・・生物が成長するには時間がかかることなども教えたいです。それは、人との信頼も生みます。
 コロナの分断は政治家にも国民にも信頼がないからではないでしょうか。情報が透明性を持てばフェイクや疑いが減り、安心が生まれるのですが、まだまだ個人が周囲を固めていくよりないです。なんとか分断をくっつける接着剤がほしい。春遠からじ、春は必ず来ます。(ニュース一部閲覧)

旅の終わり

 画家・絵本作家の安野光雅さんが昨年12月24日にお亡くなりになりました。94歳。たしかに高齢ですが、この方には、まだまだ描き、作ってほしかったです。大正15年、島根県津和野町生まれ。昭和43年に絵本「ふしぎなえ」でデビュー(選書してます)。主な作品に「ABCの本」「天動説の絵本」などがあります。絵本が好きな多くの方は知っているでしょう。私はほとんどすべてが好きですが、代表的なものを挙げれば①旅の絵本②かげぼうし③あいうえおの本④にほんご⑤ふしぎなたね・・・・・・・・いけない、いけない書ききれないくらい出てきてしまいます。それだけ多くの仕事をした方です。

旅の絵本謎解きコンクール

 「旅の絵本」は、出版当時は後ろに答えが書いてなくて、これで解答を出すコンクールをやったものです。配本をして解答用紙に書いて送ってもらい、正解者に賞状・賞品を渡すもので十年くらいやりました。大好評で、当時の会員の多くは回答してくれました。福音館書店も協力してくれて、大型パネルまで提供してくれました。
 あの当時は書店営業員が定期的に回ってきていました。店頭の旅の絵本コンクールを見た岩崎書店の営業の方が「ゆめやさん、ウチで安野さんの装丁集を出したんですけど、売れなくて困ってるんです。サインを安野先生にしてもらう会をしますから買ってください。」と言ってきました。まだ開店したばかりで売り上げもろくにない時期でしたが、安野作品は大好きだったので買うことにしました。
 「買ってくれるなら、サイン会で優先的にサインをもらえるようにします。」というので、東京まで行ったことがあります。安野先生が書いてくれている間、その手を見下ろしながら、一言、「先生の旅の絵本やあいうえおの本、これからもたくさん売りますよ」というと「本屋さんなの? ありがとうございます。まだまだたくさんがんばって描きますよ・・・」と、やさしそうな目でおっしゃいました。

びっくりぽん

 ところが、装丁集を手にしてレジに行ってお金を払うときに、びっくりポン。なんと18,000円でした。たしかに良い本です。まだ消費税がなかった時代ですが、貧乏絵本屋には、ちょっと大金でした。
 でも、ものすごい数の本の装丁をしていることがわかり、「やはり大作家なんだ!」と思わされました。その後、故郷を描いた画集「津和野」などかなりの本を集めました。
 私は安野作品は日本の絵本のなかでも上位に来ると思います。世間ではねずみ2匹が食い物で子どもの気持ちを引き付けるような本とか読むうちに、多様な本でも安野先生の考えがなんとなくわかってきたように思います。絵もですが、私は考え方はとてもすきです。数学についても現代社会の見方についても納得いくものが多く、共感するものも大きかったんです。
 3・11のあと、安野さんはずっと日本の在り方を考えておられたようで「旅の絵本」最終巻の日本編ではあとがきで「文明の進み過ぎ」についての思いの丈を述べられていました。
 「旅の絵本」のシリーズは、世界中を回って、その旅の終わりが日本だった!のです。 この国の風土と文化を愛していることがはっきり、わかりました。
 すばらしいですね。安野さんの本は古びない本です。ぜひ、何か手に取って安野ワールドを楽しんでみてください。
 加古さとしさん、安野光雅さん・・・絵本の黄金期を作った方々が相次いでお亡くなりになっていきます。これも時代の変わり目を表しているのでしょうか。
 最近、私の選書感覚で、よくわからない絵本が世間では出回っています。いい時代はすでに終わったんでしょうか。(新聞一部閲覧)



(2021年2月号ニュース・新聞本文一部閲覧)

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