ブッククラブニュース
平成27年3月号新聞一部閲覧 追加分

読み聞かせと子どもの環境
4歳〜5歳の本

 4歳になると、それまで母親の後ろに隠れがちだった子どもにたくさんの世の中との接点が生じてきます。幼稚園や同年齢の仲間たちとの遊びを通して、また親からちょいと離れて行動することを通して、社会性を学びはじめるわけです。これは標準的に4歳から始まるといわれています。好奇心が狭い世界からより広いところへ向けられるようにもなります。
 親から離れて知らない世界を見に行く「探索」という行動もふえてきます。これが周りの他人とうまくやっていくための最初の一歩ですが、社会性が出るということは社会の良い面ばかりでなく悪い面にも接する機会が増えるということです。だから、粗悪なもの、刺激的なメディア(テレビ、DVD、漫画・アニメ)とのおつきあいをどうするかという問題も生じてきます。気が付かれると思いますが、汚いもの、汚い言葉への関心も高まります。ひんぱんに「ウンコ」「オシッコ」「バカ」などの言葉を使う子も出てきます。そういう時期なので、あまり気にする必要もありませんが、それが人前で使うと恥ずかしい言葉であることだけは教えておかないとマズいと思います。つまり社会性を教えるということですからね。私は個人的には、4歳段階では「まだまだナイーヴな読み聞かせ環境を作っておいてあげたいな」という気がします。それでそういう配本を組んでいます。もちろん、個別、性別で違いますが、共通して発達に合わせている配本もあります。

4歳からは・・・

 ブッククラブ配本では4歳になると「親離れ」や「おつきあい」がテーマになっている絵本が入れています。「ぼくにげちゃうよ」は多くの方々に配本されますので例に取りますが、この本は親子のつながりを維持しようとする母親と世の中に出ていきたい子どもの綱引きです。あらゆる想像力を使って親元から逃げようとする子どもと、それをあらゆる手段で止めようとする親の姿が描かれます。これは母親の読み聞かせが、子どもに対してかなりのインパクトを与える絵本でもあります。幼児→少年少女への心理変化を描いたものや、社会的な要素のかなり高いもの、仲間を大切にする、家族を大切にする絵本も用意されます。その代表は『からすのぱんやさん』や『スイミー』でしょう。
 女の子だけですが自立行動を促す『はじめてのキャンプ』や『げんきなマドレーヌ』なども入れています。男の子には『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『かいじゅうたちのいるところ』などハチャメチャながらも自立心を芽生えさせるための本を入れます。
 また、基本的な語彙がかなり身につく時期なので、それをもとにした、しりとり遊びや言葉遊びの絵本なども楽しめるようになります。つまり、この時期になると、生活絵本でも物語絵本でも知識絵本(図鑑・科学絵本など)でも、かなり広範囲な分野のものの読み聞かせが可能になるわけです。ですから逐次、これにつながるようなわかりやすい本を選書して、季節に合わせて入れています。どうぞ、配本順に毎日読んであげてください。
 4歳児は、あらゆることがわかる年齢なのですが、あまり言葉がむずかしいものやテーマが深いものはまだ無理です。ここまでくれば、ふつうに淡々と読み聞かせましょう。いずれ字を追って読書をする時期が来ます。パフォーマンスで引きつけるのは一人読みになかなか移行できない逆効果になると思います。(ニュース一部閲覧)

全課程修了の方々へ

 今年も今月は、2014年度就学児ブッククラブ全課程の修了です。この時期はある種の哀しさがゆめやにはあります。ほんとうに長くお付き合いをしてきた方々との「別れ」という感じがあるからです。下の名簿(個人情報なのでHPでは削除)を作りながらいつも思います。そして、ある年度の年賀状の束をひっぱりだして、「こんなに小さかったのに・・・」「今頃はお母さんの背丈に届いているかも・・・」なんて思ったりします。11年間という長い時間で親密なお付き合いができたのはとてもありがたいことです。通販型のブッククラブではこうはいきません。こじんまりしたブッククラブですが、それだけに密着したお付き合いができたことに感謝申し上げます。
 高学年では、かなり高度な配本もあり、読んでいただけたかどうか心配しましたが、ここまで来ていただいてほんとうに感謝です。今年の修了者も、このサブカルチャー全盛の中でよくぞここまで読んでくれたと思っています。これもお母さん方の読み聞かせの成果でしょうね。最近の配本では、むずかしい本もあって読み残しているものもあると思いますが、後日ゆっくりと読んでください。
 ゆめやの高学年配本を読めたということは、もうこれは大人が読む高度な本さえ射程距離に入ったことを意味します。周囲に負けずに今後もたくさん優れた本を読んで行ってください。これから、どんな本を読んでいけばいいか分からない方はご連絡ください。また、ぜひ「その後」もお知らせください。必ず返信しますので・・・(ゆめやが存在する限りはですが、なかなか存在がむずかしい時代になりつつあります。アベノミクスに潰されそうですからね・笑)。
 これまで来店受け取りの方は今後もいつでもお立ち寄りください。これまで同様、お茶でも飲みながらお付きあいを続けてください。遠方の方は暇なときには電話でもメールでもお手紙でもいただければと思います。これまでの長いご愛顧を感謝申し上げます。ゆめや(新聞3月号・一部閲覧)

しかたがねぇ!また書くか・・・
(8)最終回 結果は・・・

 もう悲惨な結果となって出ているのだが、その見本のような事件がまた頻発している。サブカルチャーを放置した結果の悲惨な事件だ。和歌山紀ノ川市の22歳ひきこもりによる小5刺殺、そして、川崎市の18歳少年による仲間の中1刺殺・・・以前にも書いたが、サブカル原因の殺人事件は、100%弱い者が襲われる対象になるのが特徴だ。思い起こしてみよう。宮崎勤の幼女連続から始まり、池田小殺傷・・・酒鬼薔薇事件、秋葉原事件・・・みな無防備の弱いものに牙が向けられる。死にたければ暴力団事務所か警察を襲えばいいのに、対象はすべて女・子ども・丸腰の大人である。
 さて、これだけ結果が出ているのに、こういう事件の原因にサブカルチャーがあることをまだ世の中は認めない。LINEなどのSNSがその背後でどんどん子どもに浸透していて、「持っていない」「つながっていない」ことによってイジメも起こる。ネット依存症、サブカル・オタクの中には、こういう悲惨な事件を起こすものが増えている。なぜ、誰もこの問題を直視しないのか不思議でしかたがない。やはり、ゲーム機やゲームソフト製造の企業に気を使っているのか、SNS関連の通信企業に気を使っているのか・・・まったく製造責任が追及されない。これは大人の問題である。

ネット先進国・中国では

 3月1日に南アルプス市の会員からこんなお便りが届いた。一年のうち、かなりの回数で世界中を旅行している方である。見聞したものは、・・・
 「2月28日、上海→羽田で、隣の席には20歳代後半と思える男性が任天堂のゲームをずっとやっていて・・・ゲームは登場人物と恐竜との戦いが主体でした。機内食、飲み物を言葉ではなく、『いらない』と手ぶりで・・・。彼の体型は完全に肥満で、何も食べないのかと思うと、飛行場で販売しているサンドイッチを最後に食べていた。どうも自室で特定の物だけを食べて、ゲームの世界に入り込んでいる30歳前の中国人(?)男性という感じです。ゆめやさんが言われる『サブカルチャー世界』に没頭した生活の『人種』のようです。」
 ネットが社会の中で急速に進んだ中国では、依存症や人格崩壊などの精神病が青少年の間で起きていて、軍の中にそれを矯正する施設が作られている。脳波の検査から規則正しい生活まで専門家である軍人の指導で更生が試みられていると、今年一月発行の「Days」が写真(左の二枚)入りで報じていた。どの少年の顔も生気のない暗い表情で、中には十歳くらいの子もいた。(写真は、二枚ともDays1月号から転写)
 中国では6億3000万人がネットのユーザーで、うち13%が依存症だという。ゲームの影響はとりわけ大きく、食事や睡眠をろくにとらずに家やネットカフェにこもって、ひたすらゲームをする少年たちが増えている・・・これは数では到底かなわないが日本でも起こっている現実である。また、それほどひどくない人間は隣にもいる。

 中国では(日本でも)、多くの親は「自分の子に限ってそうはならない」という確信めいたものがあり、お金があるから欲しがるものは幼児期からみんな与える・・・その中に占めるサブカルチャー関連商品は少なくないだろう。依存が分かって家族が止めようとすれば、家庭内暴力が始まり、重症化するのは中国も日本も同じである。学校にも行かず、勉強もせず、人生に目的など持たなくなってしまう。
 中国では麻薬中毒の専門家が軍隊的な生活での矯正に当たっているが、その治療中に浮上するのは、家庭や家族の構造変化だ。一人っ子政策で子どもは親の期待を受け、小さいうちから勉強を強いられる。学校は偏差値重視の過酷なハードスケジュール。経済の発展で急速に核家族化、親が多忙で家にいない状態が起きた。子どもは孤独になる。テレビを観て、漫画、アニメを見て、やがてネット。見知らぬ他人とバーチャルなやり取りして、やがては依存だ。

依存症医療センターは二つだけ

 子どもの成長期にサブカルチャーやネットにハマっていくと、本来の成長過程から脱線して、自分の力では戻れなくなる。とくに進学熱の高い有名校、中高一貫校などに入った子が、それまでと違う成績環境の中で「挫折感」を味わい、他にいくらでも選択肢があるのに、暗い世界に入っていく。別の方向が考えられないのが子どもだ。日本では、このネット依存症を対象に治療をしている施設は2つしかない。ネット依存と言っても裾野は広く、買春対象になる女子中高生もじつはアニメにハマり、SNSにハマり、やがて被害者(加害者?)になる。ま、いわば「つながり依存」であり、これもネット依存と同じである。パターンは同じなのだ。川崎の事件では18歳少年が13歳少年と同じアニメマンガを見ていたという共通性があるが、サブカルチャーの影響を受けると「頭が大人になって行かない」。こういう現象は根は深いものがある。これにネットゲームやゲームセンターのゲーム機などが加われば精神性の維持などむずかしくなるだろう。仮想を現実と思い込む危険な状態である。

君子 危うきに近寄らず

 これを家庭で実行しないと・・・・子どもの心は大変なことにならないだろうか。依存をつくるものは、植物性アルカロイド(麻薬)から始まってとにかく体も精神もむしばむからである。
 1983年に、甲府郊外の中巨摩地区の教育研究集会でサブカルチャー(当時はニンテンドーのファミコンやどらえモン)の影響について述べたことがある。すると、ある先生が「こういうゲームをすることで、子どもはコンピューターの操作に習熟し、プログラミングも出来る子どもが育っていく」と反論してきた。なるほど、その先生が言う通りそういう子も出ている。しかし、よく考えて見れば、負の側面のほうがずっと大きいのではないだろうか。今後も間違いなく上記のような悲惨な事件は続くだろう。
 もう少し事件を起こした犯人の成育歴を調べ、「こういう影響を受けていた」と家庭の環境を公表してもいいと思う。世の中には、他人事として甘く見ている親も多いからである。
 子どもは仲間外れにされたくない一心で、SNSでつながっていく。日本にはネット依存の専門家はいないし、子どもたちの世界に入りこむサブカルチャーは手を変え品を変えである。「たいしたことはない」とサブカルの横行を見ていたら、子どもたちのネット依存は、手の施しようもなく悪化の一途をたどる。さて、大人は、この問題に動けるのか。ゲームやSNSを規制できるのか。粗製乱造のアニメ、子どもたちの関係を異常にするLINEなどの責任はどうなるのだろう。やはり使った者の自己責任になるのだろうか。(増ページ3月号一部閲覧)



(2015年3月号ニュース・新聞本文一部閲覧) 追加分



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