ブッククラブニュース
平成21年1月号新聞一部閲覧

あけましておめでとうございます

平成二十一年元旦


年末の繁忙を理由に年賀状を欠礼しているにもかかわらず、今年もたくさんの年賀状をいただきました。ほんとうにありがとうございます。二月の立春まですべて店頭に展示させていただきます。来店受け取りの方ばかりでなく、配送の会員の方もたまにはぜひ御来店くださいまして、多くのお子さんの笑顔の写真をご覧ください。

メディアが煽る大騒ぎ


世間は「百年に一度の経済危機」と大騒ぎですが、会員の方々の表情には何の暗さも感じられません。未曾有(首相読みではミゾユウ)の金融不安、雇用危機・・・とメディアは煽ります。テレビニュースでは、インスタントラーメンを煮ている失業者や財布に三十円しか入っていない人が炊き出しに集まる姿を映し出します。なんだか作為的演出の報道という感じもしますが、ミゾユウというほどではないにしても例年よりは増加しているのでしょう。・・・。私は毎年暮れに失職者の越冬支援をしている労組・「たんぽぽ舎」に古着や洗剤、余った食料などを送っていますが「今年は一月にも送らねばならないかな」なんて思っています。もし皆さんも余ったものがあれば、ぜひ送ってみてください。(たんぽぽ舎 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2−6−2ダイナミックビル5F)小さな救助のほうが企業が冷たさへの皮肉として効果的かもしれません・・・。

年の初めに漢和辞典を引くと


この経済危機も市場原理主義の行き詰った結果で、これについては昨年の新年号で「こうなるぞ!」と述べました。・・・「今年はネズミ年。干支でいえば戊子(つちのえ・ね)。「戊」は植物が茂りすぎた状態、・・・・あらゆるものが複雑に絡み合い、不要なもの、無意味なものが増え続けていることを考えると、なるほど戊子そのものの状態」。そして、「それを止めないと(ゴタゴタして茂りすぎたものを切っていく)教育問題や環境問題が深刻化する」(2008・新年号)ことを付け加えました。自然にそうなりましたが・・・・。今年はウシ年・・・干支は己丑(つちのと・うし)です。大漢和辞典を引くと、己は「紀」の糸偏省略。丑も「紐」の糸偏省略。グチャグチャに絡み合った糸の状態を正す意味があるというわけです。子(ね)年の混乱を受けて筋を通していかなければならない年だということです。「紀」は「乱れた糸筋を糺して通す」。丑も「紐(ひも)」と同じで、曲がったものを伸ばして正常にする意味だとありました。自然にそうなるのか、あるいは私たちが筋を通していかなければ社会が回復しないのかは分かりません。ただ、社会も家庭も筋目を通すことが今年の課題なのでしょうね。なるほど、どこをみても世の中の歪みに流されて異常になっています。
東京の繁華街などへ行くと、「ここはいったいどこの国の町なのだろう」と思うことがありますし、歩いている若者(大人もです)を見ていると「狂っている」としか思えない恰好をしています。こういうことも認めなければグローバルな感覚になれないとするなら、国際人などになりたくもないような気さえするのです。おそらく世界のあらゆるところで、そういう異常が起きているのでしょうね。そして、少なくとも干支では「それを正す」ときが来ているようです。果たして今の政治や大人が正せるか正せないか・・・・まだまだ・・・現象は一喜一憂です。

一喜・・・・最後の希望は笑顔かな


今年最初の営業日・・・冒頭の写真のように店の壁面に年賀状を貼り付けたボードを立てかけていると、近くに住む会員の中学校の先生が、まだ一歳の娘さんと入ってきました。そして、
「なんだか、この年賀状の子どもたちの顔を見ているとホッとしますね」とおっしゃいました。日ごろ学校現場で悪戦苦闘されているのかもしれませんが、写真のなかの子どもたちの笑顔に圧倒されているようでした。さかんに「元気をもらった」「がんばれる」を連発していました。
「絵本の読み聞かせで育つ子は、みんなこういうふうになるんでしょうか?」
「いや、絵本じゃないと思いますよ。家庭がちゃんとしているんじゃないですか?」
「こういう笑顔を見ていると、やる気が湧いてきますね。」
「私なんか、これだけを頼りに商売やってきたのかもしれませんよ。」
「この時代、最後の希望は笑顔かな。」
なんて、話が続きました。そこに三人のお子さんを連れた会員のお母さんが入ってきました。
相手をしていると三人のお子さんからは、年賀状そのまんまの笑顔がこぼれます。いつもなら話をしながらお茶を飲むだけですが、正月初日はお茶代わりにおしるこ・・・話は弾みます。まったく子どもは屈託がない・・・子どもから笑顔が消えるとき世の中の明るさは消えますね・・・確実に。

一憂・・・・パンドラの箱


でも、翌日はちょっとひどいニュースが入って、御来店の会員の方との話は暗くなりました。
イスラエルがガザ地区を空爆して、子どもの目から涙があふれています。二十三歳の母親がパチンコに行っている間に火事で三人の子どもが焼死しました。何度同じことが繰り返されるのか、人間が懲りない動物なのか、この世の中が壊れ始めたのか・・・
「パンドラの箱を開けると、どうしようもないものがイッパイ出てきて世の中が不幸になっていきますが、最後は『希望』が出てきますよね。」
「見方によっては、その希望と言うのが一番始末の悪い邪悪なものなのかも・・」
「でも、子どもは『希望』以外の何ものでもないですよね。」
「だから、希望は大切にして、新しいものにつなげないと・・・」
「子どもの笑顔を絶やさないために何ができるかというと、じつは私たち大人はたいしたことができないわけです。と、いうより、いじくりまわさないほうが笑顔の総量は大きくなる。」
一見、乱れを正すのはむずかしいようですが、子どもと笑顔があるかぎり、まだ日本は大丈夫。「あけましておめでとうございます」を繰り返しながら「今年もいつもと同じに行こう!」と思うゆめやでした。そういうわけで、本年もよろしくお願い申し上げます。



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