ブッククラブニュース
令和4年
11月号(発達年齢ブッククラブ)

2022年11月の予定

12月の定休日も日曜、月曜、祝祭日です。
 冬時間の営業となります。営業時間は午前10時30分〜午後6時受け取りの方で午後6時以降に来てしまった方は電話かピンポンで呼び出してください。在店していますので店を開けます・・・・ご遠慮なく。

【コロナ対応について】

 11月はひじょうに感染者が増え始めましたが、実情はインフルエンザ状態なのでお子様のマスクの着用は強制しません。終息に向かっているのだと思います。今回は8波ですからもうちょっとの我慢でしょうか。お子様のマスクはまったく強制しません。定期的に換気はしますが、寒くなってきていますので暖房もかけます。通常日は飲み物のサービスしていますが、込み合ってきたらお出しできないことも・・・・土曜日は特に。
発送会員の方に
 郵便振替の際に ATM でお支払いをお願いしていますが、手数料こちら持ちにも かかわらず、日本郵便は振り替え手数料を振り替えるお客様からも取ります。ちょっとひどい。で、手数料軽減 の方法として「ゆうちょ銀行」の口座をお持ちの方は、ゆうちょ銀行から振替口座「絵本 専門店ゆめや」00400-6-7649 に直接振り替えると手数料が軽減されます。通信はできませんが、ご連絡やお便りはメールでお願いします。
 振り込んだことをメールでお知らせいただけば、お礼の返信はします。ご面倒をかけて申し訳ありませんが、銀行振り込みやゆうちょ銀行の方法も試してみてください。  ゆめや店主 11月1日

「本は世につれ、世は本につれ・・・・?」③子どもの本の歴史

 子どもの本の草分け的存在ともいえる福音館書店の松居直さんがお亡くなりになった。同志社大卒業後、福音館書店の設立に携わり、56年に月刊絵本「こどものとも」を創刊。「ぐりとぐら」「おおきなかぶ」など名作を世に送り出し、安野光雅(「おおきなもののすきなおうさま」)や長新太(「ごろごろにゃーん」)、加古里子(「だるまちゃんシリーズ」)らの才能を発掘した。
 戦前から戦後の一時期まで子どもの本はかなりレベルが高いむずかしいものしかなく(「蜘蛛の糸」の芥川龍之介・「ごんぎつね」の新美南吉・「赤い蝋燭と人魚」の小川未明・「泣いた赤鬼」の濱田広介ら)、一般の子どもは絵本になど触れる機会がなかった時代が戦後まであった。
 そこに登場したのが松居さん。次々にヒット作を企画して人気絵本をたくさん生み出した功績は大きい。ゆめやの配本でも福音館書店の本はかなりの比率を占めているが、これは多くが子どもの心をつかむ要素があったからだと思う。

一時代が終わった!

 戦後の食べるものがない時代を経験した子どもが「ぐりとぐら」のカステラに大きな魅力を感じるのは当然だろう。子どもは食べ物で釣る(笑)のが一番だ。最近は女性も釣られるが、こういうところにいち早く目がつけられるのが凄いところで、それは2歳児が繰り返しの話でないとうまく理解できないのをロシアの名作「おおきなかぶ」で低年齢児の心をつかむようにしたのも松居さんの功績だと思う。もっとも小1の教科書に使われているから、文科省の判断は6歳児=2歳児なのかもしれない(笑)が、とにかく子どもの目と心に大きなインパクトを与える本を作り続けた。
 享年96歳・・・児童書の歴史の一区切りのなかで輝いた人であることは間違いない。新しい児童書の波がここ十年で起きているが、この波がかつて松居さんが作り出した子どもの本の一代ブームに匹敵するかどうか、多くの出版社がデジタル化を進めるかどうか? 読みかセル親が減り、子どもはYoutubeで頭が占領される時代だ。質の低いウケ狙いだけの浅薄な絵本しか出なくなる可能性も高い。
 次の時代は児童書戦国時代になるだろう。

杉山亮さんの秋のものがたりライブ

 とにかく毎回面白さには定評があります。お近くの方はぜひ足をお運びください。
 こども1000円、大人2000円、格安の楽しい時間でーす。
 11月26日 11時〜 と 14時から 二回公演
 東京都目黒区駒場4−3−55 日本近代文学館2F ホール
 井の頭線 駒場東大駅 あるいは 小田急線東北沢駅 下車10分
 問い合わせ先 monogatari@sugiyama-akira.jp
 TEL:090-6003-9871

この世は人情紙風船

 今回は四十二年前の開店のときの思い出話です。
 開業ともなるといろいろな準備が必要で、独自性を出すにはなにからなにまで一人でやらねばならず、包装紙、折りこみチラシなど毎日考えてました。包装紙デザインは問題で、芸術的才能がないため試作の繰り返し。
 「目立てばいい」とばかりに、ドイツの三色旗を下地にして、そこに何かキャラクターを置くデザインでした。
 当時、かなりシュールな絵柄の「絵本の中へ」を書いた絵本作家の故・上野紀子さん(「ねずみくんのチョッキ」の作者)にお願いしました。手紙と電話でお願いすると快く受けてくださり、昔のことなので使用料を払うこともなく、表紙の絵を包装紙にちりばめました。電話の声はとてもおだやかで、やさしい御人柄がにじみ出ていました。
 はじめは、マリー・ホール・エッツの「もりのなか」を使おうと考えていたのですが、出版社に問い合わせると「著作権問題に抵触するのでダメ」ということ。出版社なのでいろいろ問題が起こるのが嫌だったんでしょう。こういうときは著者に直接が、「話が早い」ということ。そんなこんなで、この挿絵の絵柄のようなド派手な包装紙ができました。

やはり人のつながりが・・・!

 また、あるときブッククラブ配本で「哲学する赤ちゃん(上野紀子さんの御主人・中江嘉男さん作)」を選書(いまも選書してます)していたのですが、版権がポプラ社から小さな出版社に移り、手に入らない! でも配本予定が迫っている・・・で、思い切って直接、中江さんに電話をすると「なんとかしましょう!」と言ってくださり、しばらくたって「話がついたので直接、希望冊数を送らせる」ということでした。まったくありがたい手配でした。これと同じことが今年、杉山亮さんの「青空晴之助」でも起こり、杉山さんにお願いして融通してもらいました。やはり何かの時は「人との関係」です。もちろん、してもらうばかりではなく、礼を返すのを忘れたら、これは「人情紙風船」、「義理が廃ればこの世は闇よ」となりますが。
 楽で便利、利益や合理性で動く世の中は、人と人のつながりが切れ、騙してでも儲けたい!が前面に出てきます。物事を手軽に考えると人間関係が切れていくのがわからないのでしょうかね。そういう人に最後にやってくるのは「孤独」です。子どもをそういう目に遭わせたくはないですよね。プログラミングを教える前に「人の道」を教えないと悲惨なことになります・・・。
 30〜40年前は、まだまだこの国に人情味があった時代で、何もかもが手間暇抜きの儲け仕事だけではない世の中だったのです。時代に恵まれたので、ゆめやはお客様ととても良い関係が築けてきました。いまだに商品先渡し、料金後払い・・・すべて「時代遅れ」でやってますが、お客様とも信頼を土台に続けています。変えません。いまは失敗や手違いが起こると、すぐに弁償とか訴訟などへ行きますが、昔の日本は、そんなケチくさいことで動いてはいませんでした。もう世の中はもとには戻りませんが、がんばっていきたいと思います。

Dr.Sawadaの🍓通信 ② 眠りについて

 現代人は睡眠時間が不足していて、熟睡もできないという。眠りは子どもにとっても大人にとっても欠かせないもので、これは重要なこと。子ども、大人ともに眠りについて再認識してもらうために澤田先生に数回にわたって書いてもらうことにした。午前3時まで仕事して、4時まで読書。それから10時まで寝る私が言うのもおかしな話だが、最後の一行がなんとも痛かった(笑)!
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 眠りは、哺乳類の中でも特別大きな大脳を持つ人類にとっては、生きるために欠くことができないものです。今回は眠りをテーマに取り上げますが、頻繁に使われる用語について、まずかんたんに説明を・・・。

レム睡眠とノンレム睡眠

 英語のREM(rapid eye movement)とその逆のnonが付いた用語。レム睡眠は眼球が瞼の裏でせわしなく動いている眠りの状態です。体は眠って動かないのに脳の活動が活発。起きているとき経験した記憶を脳が整理して記録しています。
 ノンレム睡眠は脳も眠ってます。ノンレム睡眠は浅い眠りから深い眠りまで4段階に分けられますが、深い眠りの段階、眠りの早い時期ほど、成長ホルモンがたくさん分泌されます。成長ホルモンは、子どもの成長だけでなく、おとなも古くなった組織の手入れをする役割を持っています。
 成長や回復の大きな原動力になる「睡眠」・・・・これを考えて正常なリズムを生活の中で整えるのはとても大切なことです。狂った時計が生活を狂わせるわけですから正常な時計で体を動かすのは健康のもとになるわけです。

体内時計

 体内時計とは、暗闇の状態で自然に刻む時間のことです。ほぼ1日25時間の時計です。
 概日リズム(約24時間の周期で変動し、そのリズムの周期が光パルスや暗パルスによってリセットされる生理現象)、サーカディアンリズムは、1日を24時間にする仕組みです。一日の生活は朝目覚めて光が目に入るとセロトニンという化学物質が体内で作られ、時間がたつとメラトニンという眠りを誘うホルモンに変わり、からだは翌朝まで眠ります。メラトニンは周囲が明るく、眠りが浅いと作られにくいホルモンです。
 そのためには、大人も子どもも、自然に逆らう朝寝坊と夜更かしを避けるように努めてください。(つづく)

長い会員の話 ⑦

 長い長いといえば外せない方がいます。山梨県立大学の池田政子先生。山梨のジェンダーフリーの旗手で、定年退職されても、いまだに女性の権利と立場を守る活動をされています。
 40年前、ゆめやは甲府」中心部の相生町にありましたが、ある日の夕方ふらりと入っていらっしゃって、以後長い長い会員となりました。
 東京から赴任されてきて、ゆめやが大学と宿舎の中間にあったから立ち寄ったのでしょう。(写真下は40年前の相生町時代のゆめや)
 そのころはまだ山梨県立大学は山梨県立女子短期大学で女子短大でした。そこの幼児教育科の助教授をされていた時期だと思いますが、40年経てば退職されていまや名誉教授・・・山梨で活躍してきた女性の歴史や聞き取った活動を本にするとか・・・男女共同参画事業の推進とか、とにかくさまざまに活発で先進的なご活躍を続けていらっしゃいます。
 ブッククラブでは息子さんへの配本が終わり、さらにその息子さんが結婚されてできたお子さん2人への配本も終わりました。
 でも、保育面での隠れた支援(これがまたすごい立派なこと:息子さんたちがお世話になったという保育園にかれこれ30年以上毎月本をそれも1冊や2冊でなく「お礼」として贈っているのです)も続けていらっしゃるので、その活動でもいまだにご利用いただいています。ありがたいことです。働く女性としての先生を助けてくれた保育園にお礼の形でお子さんたちを入れた保育園へ年齢別に組み合わせて本を贈っているのです。一回や二回ならともかく長期間・・・・これは考え方と行動がまさに一致してますね。
 まったく働く女性の鑑のような方です。この長い時間の間にいろいろお話したり、アドバイスをいただきましたが、私は男なのでいつも痛いことを言われます。「なんでブッククラブ配本には男と女の別があるの!?」とか・・・(笑)。きっとジェンダーフリーの教育では、女子学生さんたちに大きな影響を与えたのでしょうね。
 40年という年月は長く・・・先生の教え子もずいぶんたくさんいて、いまや会員の中にもいますから、「来店のタイミングを合わせて先生と会いたい」という会員もいます。

眼が悪くなったのか 耳が悪くなったのか

 最近、歌を聞いていて、少しも歌詞が頭に入ってこない。キレッキレッのダンスを踊りながら早口で歌うから何を歌っているのか、どういう詩なのか耳に残らない。「老化現象かな」と、三十代のお母さんに話したら、「私もじつは聞き取れない」とのことでちょっと安心。
 インターネットや雑誌・新聞の記事も、見慣れない単語や意味不明の言葉が目立ち、文が頭に入らない。頭文字を組み合わせた言葉が説明抜きで出てくると、これはもうお手上げだ。LGBTQ? SDGs?
 言い換えもすごい。ジーパンがデニムになり、ズボンがパンツになるくらいなら、なんとか理解できる。チャックをファスナーと言い換えたのはかなり前だから、これは古語(笑)。しかし、スパッツがレギンズになると、もう「?」だ。
 ドキュンネームがキラキラネームになったのはわかったが、リュックサックをなぜバックパックと言いかえるのか分からない。Rucksackはドイツ語だからbackpackという英語に無理やり変えたとしか思えない。
 言い換えは日本語でも起きている。看護婦→看護師、保母さん→保育士・・・これは男性が女性の分野に参入してきたから、わからないでもない。だが、スチュワーデス→キャビンアテンダント、スパゲッティ→パスタなどは言い換えはなくてもいいと思う。実体は同じなのに・・・・どういう意図があるのだろうか。
 全体として、日本語はダサイと思っているようで、英語や音感のいい外国語にしたりする傾向があるが、あきらかにインパクトが弱まる言い換えも起きている。援助交際→パパ活、出会い系サイト→マッチングアプリ、デキ婚→授かり婚、自殺点→オウンゴール・・・これらはマイナスのイメージをぼかして、罪悪感が出ないように、あるいは実体が見えないように言い換える方法だ。聞きなれるうちに、だんだん何をしても「悪いことではない」という感覚になってくるではないか。
 もはや「不倫」など意味上では「悪いことではない日常活動のひとつ」になっているのではないか。バカな進歩的文化人が肯定し、したい放題の芸能人は「不倫は文化だ」まで言えば、バカな大衆は「悪いことではない」と思ってしまうだろう。その結果、どんどん世の中は乱れ、家庭が壊れ、家族が離散する・・・・誰がこういうことを推し進めているのだろう。

洋行帰りが鼻高々に使う外国語

 こういう手法は、行政がわざと英語をつかって内容がわかりにくくする方法と同じだ。「インボイス制度」と言えばなんだかよくわからなくなるし、内容を調べても行政特有の専門用語熟語が多用され、ぼかされている。「零細企業撲滅方式」 (笑) と言えないからインボイスという英語を使うのだろう。「パブリックコメント」なんて言わずに「皆さんのお言葉、お考えを聞く」でいいのだよ。
 もっとも、どこかの首相のように聞いてもただ聞いただけという状態に持って行く技術もお役人さまは使うからどうにもならないが・・・・。言い換えや英語での言葉のごまかしをしているうちにだんだん言葉が通じなくなり、お互いが意味不明になって、まさにバベルの塔状態になる。なるほど高層ビルが立ち並び、外国人労働者が押し寄せてきた後にやってくる「意思疎通ができない時代」・・・・どうも、金満の留学生活を終えた質の低い人々が、バベルの塔以後を支配していきそうな感じがある。
 この英語化に影響されてか、最近の歌手の歌や自作自演の歌詞は一音符で2,3音歌うようなあわただしいもので歌詞が聞き取れない! 詩が伝わらない! 伝達できないものは文として価値があるかどうか、それが問題というわけだ。
 たしかに難解な詩や文学があり、頭の程度によっては理解不能なものもあるだろう。しかし、最近の詩や物語は頭の程度とは無関係な勝手な表現が多いので、それが英語の多用によってさらに伝達不能になるのは困る。

こんな記事は意味わからん!

 「パラダイムシフトで様々なキャズムが取り払われ、各社のコアコンピタンスがコモディティ化された結果、深刻な不況が我々の前に来ています。LIGは企業の強みでもあるファクトベースにおけるブルーオーシャン戦略、いわゆるボトルネックを排除したベネフィット創出事業にフルコミットします」・・・だれぞ、この文がわかる人、手を挙げて!
 こんな日本語が国際標準の言語になるとは思えないが、これからの子どもは大変だと思う。わけのわからない日本語を理解しなければならないわけだし、言葉の意味が響いてこない言葉を使わねばならない。ますますコミュニケーションは行き詰まるだろう。先行き、このようなバカげた流行や傾向は終わるはずだ。 意味が通じない対話交流はそもそも無意味なことだから。まずは、そのまえに学校も人と人のコミュニケーションを復活させないと子どもたちの野放図と混乱が始まりますよ。



(2022年11月号ニュース・新聞本文一部閲覧)

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