ブッククラブニュース
令和4年
9月号(発達年齢ブッククラブ)

2022年10月の予定

 10月は臨時休業など急な休業はありません。9月の休業日は日曜・月曜、祝祭日です。9月は恒例の秋休み(棚卸)で9月18,19、20日を休業させていただきます。
★営業時間は9月30日までが夏時間の午前10時30分〜午後6時30分
 日没が早くなり午後6時には暗くなります。10月から閉店時間は6時です。
 受け取りの方で午後6時30分以降に来てしまった方は電話かピンポンで呼び出してください。店を開けます・・・・。
 【コロナ対応について】
 もう風邪並みインフルエンザ並ですので、適度な対策に切り替えています。手の消毒、マスクていどで大丈夫でしょう。外で良い空気を吸いましょう。中秋の名月は楽しめましたか。十六夜、十三夜・・・・秋は天体が美しいときです。お子さんと空を見上げていろいろな話をしてみましょう。
発送会員の方に
 郵便振替の際に ATM でお支払いをお願いしていますが、手数料こちら持ちにも かかわらず、日本郵便は振り替え手数料をお客様からも取ります。ちょっとひどい。で、手数料軽減 の方法として「ゆうちょ銀行」の口座をお持ちの方は、ゆうちょ銀行から振替口座「絵本 専門店ゆめや」00400-6-7649 に直接振り替える方法もあります。手数料が軽減されます。通信はできませんが、ご連絡やお便りはメールでもかまいません。振り込んだというメールをいただけば、こちらからご挨拶の返信を差し上げます。この方法も試してみてください。
 ゆめや店主 9月10日

秋暑お見舞い申し上げます

 今年の九月は甲府も暑いです。ラ・ニーニャ現象で30度を越す日が続くかも。
 こういうときは日本近海で台風がいくつも発生して連続的に上陸する年だと言われている。
 まあ、大地震より台風の方がいいが、被害が大きくなるだけは嫌だ。最近の天気予報は以前に比べて当たらない。それどころか、「記録的」「猛烈な」などという表現で不安を煽るが、実際には大海鳴動して魚一匹で、返って警戒心がなくなって危ない。それでなくても、デジタル化で人々は鈍感になり、すべてを軽く見ているから事件事故に弱くなってる。
 ただでさえ異常気象が人間の感性まで狂わせて、おかしな行動を誘発させる。昔のように天候を自分の感受性で判断して動くことができるような世の中になってもらいたいものである。

成育環境は大事

 ゆめやには猫の額のような狭い菜園があって初夏に耕して、野菜を植える。土つくりは前年の秋で、庭木の枯葉を集めて地面に埋めて置き、腐葉土にしたものを新たに菜園の土に肥料といっしょに入れる。最近は土が良くなっているから売り物にできるような野菜が採れるようになった(写真)。畑は猫の額だが、キュウリ、ナス、ピーマン、シシトウ、オクラ、モロヘイヤなど多品種が育っている。
 もちろん天候には左右されて、出来不出来はあるけれど、真夏の最盛期にはキュウリやナスは困るほど採れる。殺虫剤は撒かないので虫はすべて手作業で取り除く。水やりは日照りが続くと毎日のときもあるが、雨が適度に降れば樋から水貯蔵タンクに雨水をためて、畑に撒く。肥料は植物の食べ物なので、頃合いを見て定期的に施す。

手のかけすぎもかけなさすぎもダメ

 これをやっていて思うのは、育てるために手をかけすぎると多くがうまく実をつけないということだ。水のやりすぎ、肥料のやりすぎ、・・・・いくら何をしても、花が咲く時は決まっているし、実がついて大きくなるにはそれなりの時間がかかる。水をやり過ぎれば根腐れするし、肥料をやりすぎると肥料焼けが起こってうまく実らない。枯れてしまうことさえある。
 これは野菜の栽培例だが、家畜の飼育も同じだろう。いくらお腹をさすっても早く生まれることはないし、餌を与え過ぎれば早死にする可能性も高い。あせっても時間が経たねばまともに成長してはいかないということである。
 牛だって親牛といっしょにいて、きれいな音楽をかけたり、自然のエサを食べさせれば、おいしい肉や牛乳を得ることもできると言われている。
 ところが、人の場合は、どうも親が他の子より優れた人にしようという育児本能を働かせて、人より早く何かをして、能力を身に付けさせたくなる。早く字が読める、早く本が読める、早く運動能力が高くなる・・・這えば立て!立てば歩めの親心。少子化社会は能力強化教育がもてはやされるが、危険につながる感じがする。

両極端の例

 なるほど競争社会を生き抜くためには人に先んじて力を出さねば弱肉強食、やられてしまう、という考えはわからないではない。
 以前、近くに幼児から数学をやって六歳で微分が解ける女児がいた。NHKが取材に来て放映されたのを見たことがある。三十数年前のことだ。
 記者が「この記号はどういうもの?」と聞くと、その少女は「おじさん、大人なのにそんなことも知らないの!」と生意気な口をきいていた。毎日、大量の計算プリントを与えられてこなしていたようだ。
 その子と同じくらいの男児でブッククラブの会員の子は6歳でも字が全く読めず、音読ができなくてお母さんが困って相談に来た。私は「大丈夫、すぐ読めるようになりますよ」と答えておいた。
 それから三十数年、微分が解けた女児は中高でも鳴かず飛ばず、大人になってどこかに消えた。きっと人とうまくやっていく能力や技術が身につかなかったのだろう。
 字の読めなかった男の子はいま雑誌のライターになって飛び回っている。若芽のうちに肥料のやりすぎやタスクワークの与え過ぎはけっきょく本体を枯らしてしまうことになるのだろう。何事も適度に、自然に・・・・ということなのかもしれない。(ニュース一部閲覧)

あぶりだし

 子どものころ、「あぶりだし」という遊びをしたことがある。筆にミカンの汁とか酢で字や絵を描き、乾かすと元の白紙になる。それを電熱器の上にかざすと、消えた字や絵が焦げのように浮き出してくる。どこか秘密めいていておもしろいので、流行った遊びだ。探偵ごっこや宝探しで、よくやったものだ。
 なかなか上手に字や絵が出てこないが、判読はできるから、暗号文や秘密の地図などを描いて遊ぶのがおもしろかった。
 電熱器というのは、いまではほとんど見かけないが、子どものころは一家に一台あった。ニクロム線をコイル状に巻いたものが蚊取り線香の渦巻きのように張り巡らされていてスイッチを入れると真っ赤になって高熱を出す。早い話、トースターが平たくなったようなものである。ニクロム線は電気抵抗が大きいから、かなり電気を食う。あまり長く遊んでいると、親に「電気代が高くなるからヤメロ!!」と叱られた。
 たいていは細筆で字や絵を描くが、なかには少年芸術家がいて、細い「つけペン(インク壺からインクをつける)」で精密な字や絵をえがくと、それなりに細密画のような「あぶりだし」ができあがる。それを真似て、まわりの友だちがさらに工夫をする。「砂糖水でもOK!」「みょうばん水がいい!」などと新しい技術知識がどんどん入ってくる。字を書いたり、絵を描いたり、遊びとなるとほんとうに熱中するのが子どもだ。

墨流し

 もちろん、学校で教えてもらった技術もある。図工の時間に「すみながし」という方法を教わった。ボウルに水を張り、そこに墨汁をポトンと浮かべると、水面で広がっていく。その上に紙(和紙など)を浮かばせると、流れた墨が模様になって紙につく・・・・これは何度やっても違うものができる偶然の面白さがあって家でもよくやったものだ。
 絵本屋になって、ふとある絵本を見ると、この墨流しの技法を使っている作家がいた。レオ・レオニだ。「スイミー」の中で墨流しが使われていた。貼り絵やスカシなどいろいろな技術を取り入れていくレオニをすごいな、思った。
 こういう科学的な現象が芸術の中で生きているのを見ると、「それは世界の自然や世の中の動きでもきちんと起こっているのではないか」と、ふと考える。
 ニクロム線が熱くなると紙が燃えるよりちょっと早くクエン酸や砂糖が早く焦げる。人間の消費活動が過熱すると森林火災や異常気象が頻繁に起こるのと同じなのかもしれない。
 水に溶けていく墨汁の黒も水面に紙を乗せただけで、その流れる姿がはっきりと静止画像になって見て取れる。 その流れた跡までがきちんと浮き出てくるからおもしろい。

世界は同じ原理で動いているのかも

 何かのきっかけで、いままで「これがあたりまえ」と思われていたことがあぶりだされるということである。コロナが、その見えないものをあぶりだしているようにも思える。どでかい圧力が消えたとたん、それまで力で抑えられていたマスコミなどの情熱がいっせいに見えなかった悪事をあぶりだし始める。
 一見、目に見えない世の中のドス黒い流れも、墨流しと同じで白紙状態のメディアがそのうえに乗れば、はっきりと黒いものがどのように流れていたかを私たちに墨流しのように見せてくれることになる。
 子どものころの遊びは、他愛のないものが多いが、じつは教科書やなにかしらのディスプレイの上で覚えさせられるものより、はるかにいろいろな着想や創造を生み出すような気がする。
 同じ遊びにも酒場で酔っ払ってしようもないことをしたり、ネットカジノで大損する者もいるが、クリエィティブなものにつながる遊びもあるのだから、そのへんもしっかりわかっていたいものだ。すべて成育環境の結果ですからね。(新聞一部閲覧)



(2022年9月号ニュース・新聞本文一部閲覧)

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