ブッククラブニュース
令和2年
11月号新聞一部閲覧 追加分

読み聞かせとは?

④3歳児の特徴

 読み聞かせを2年もしてくると3歳では面白いほど物語に食いついてきます。親としては当たり前に思うかもしれませんが、最初の時期の絵本を思い返してみてください。 あんな単純な絵本からもう大人がおもしろいと思える絵本を楽しめるようになっている のです。最初の読み聞かせから2年・・・多くの子どもは大人と自由に会話ができ、 意志の疎通もちゃんとできます。なにより、よくわかっていることに驚かされます。 子どもの成長の速さを感じないわけにはいきません。 3歳代の配本の特徴は、確実に進むストーリー、展開のあるお話、読み聞かせた 後に楽しくなる結末という3要素を持ったものです。
 物語絵本は、これから後のすべての読み物の出発点ともいえます。配本選書しているものは季節に応じ、月齢に合わせたものです。特定の分野に偏ったものは入れてありませんので、順次、配本を楽しめるように読み聞かせていってください。
 2歳の読み聞かせの時に注意しましたが、なるべく好奇心、関心が特定のものに向かないように・・・オールラウンドに「物語のおもしろさ」を味わえるように読むのがポイントです。車オタク、電車オタクにしないことですよ。
 3歳前半では、多少の演出(抑揚や声色、手振り、身振り)などを入れてもいいですが、なるべく早めに淡々とした読み聞かせに切り替えることをお勧めします。
 読み聞かせは読み手が目立つための派手なパフォーマンスではありません。やがて読書に入っていく導入部。読書とは絵ではなく字を追うもの。追った字が 言葉になり、言葉が頭の中で想像力を使って独自の世界を描くわけです。これがアニメや漫画と決定的に違います。そのためにも言葉からイメージする訓練がされないと読書の土台ができません。演出やパフォーマンスで表現するのではなく、言 葉から内容がイメージできるような状態にしたいものです。まずは楽しく読むことを忘れずに・・・ですね。

本とともに過ごしてきて

井貝公美子さん 捷人くん(小6)
ニュージーランド・テカポ

 捷人が生後 10 ヶ月から始まった本読みは、思い出してみると生活の中に本が溶け込んでいた時間を過ごしてきたように思います。ホットケーキを作りながら、「しろくまちゃんのホットケーキ」での「ぷつぷつ」、「まーだまだ」と言ってみたり、月を見ては「お月さまこんばんは」と言ってみたり、「この言葉どこかで聞いたよね」と思い出してみると、「そうだ、本の中にあった」と発見したり、生活のあちらこちらで本が出てきました。
 本が大好きという子には残念ながら育ちませんでしたが、本を読んできて、人のことを想い、考える力が育ったかなと思います。(親バカでごめんなさい)そして、年々こういう考えが 出来るのかと驚くこともあります。
 6ヶ月分の本といつも同封して頂いた夢新聞は、私にとって育児本でした。だめ親について書かれているところを読んでは、私にも当てはまると反省したり、ここは大丈夫と安心したりしていました。
 十年以上、バラエティに富んだ本を選んで下さり、ありがとうございます。残りの月もよろしくお願いします。 十月の頭の2週間は、スクールホリデーでした。いつもは十月の初めは中国のホリデ ーで、こちらも忙しかったのですが、今年は国内がちょこっと動いただけで、そこまでの忙しさがありませんでした。ホリデー明けは、寂しい町に戻っています。昔のテカポです。

《ゆめやより》
 NZからご帰省のときにお立ち寄りくださいましたが、お子さんと話したり遊んだりして感じたことがありました。
 最近の日本の子に見られないようなはにかみとか緩やかさを感じました。長く外国で暮らしているお子さんとは思えませんでした。きっとテカポは、いい環境なんでしょうね。そしてまた学校の教育に日本と違った余裕があるのでしょう。最近の日本の子どもは、保育園に低年齢から預けられた子は、なかなか慣れません。そして慣れてくると平気でわがままを出したり傍若無人になったりします。だから、捷人くんは、その意味では昔の子ども、昭和の子どもを彷彿させました。またぜひ遊びに来てください。
 ニュージーランド・・・指輪物語のロケの国・・・一度は行ってみたい国です。コロナがニュージーランドのようにうまく終息することを願ってはいるのですが、こちらの国は欲をかく国なので感染が酷くなり、同じ島国なのにどうにもならない冬になりそうです。

ぎんなんどろぼう

 空が青くなると紅葉がきわだちます。モミジの赤もいいですが、銀杏の黄色も陽に映えてきれいです。
 ミレーの絵画収蔵で有名な山梨県立博物館の通りは銀杏並木になっていて、この時期は空の青と銀杏の葉の黄色がすてきです。当然、銀杏には実がなりますね。あの臭い臭いギンナンの実です。
 でも、種はおいしいので焼いたり、ゆでたりすると最高です。 それを狙ってギンナンどろぼうが出没します(笑)が、どろぼうと言ってもブドウやモモを盗む人とは違い、ほほえましい光景です。こういうところを取り押さえる人は絶対いません。昔は取る側にも取られる側にも仁義というものがあり、限度を超えない、このくらいなら許すというものがありました。
 日本人の優雅な習慣には無用に取りきらず、残しておくということが大切という考えがあります。やがて実は落ちて芽を出す。鳥の餌にもなる。 世界中が資源を使いつくそうとしている中で、「次世代のために残す!」という思想は大切ですね。

読書挫折の問題・1

 小学校中学年から本を読まなくなる子の増加が目立ってきた。まあ、原因はいろいろある。主なものは塾などの勉強で余裕がなくなるというもの。またスポーツで疲れ切り、本を読むよりゲームでもして気分転換をはかるというもの、あとはスケジュール満杯のお稽古事だ。
 いそがしい!いそがしい!まどろっこしい本など読んでいられるか!!である。
 それでも中学年までに本を読む力がつかないとあとで述べる大変な問題に行きつくことになる。しかし、理解させようとこの年齢(中学年)に読み聞かせなどしてもほとんど効果はない。ここで読む力や好奇心が失われてしまったら、かなりの確率で読む力はつかないとあきらめた方がいいだろう。 また「成績と読書なんてなんの関係もないじゃないか」という大人もいるだろう。「東大王」は何でも知っている(笑)が、本の内容について語っているシーンなど見たことないのだから東大にはいるのに読書は無用ということらしい。つまり知っていることとわかっていることは別物なのだが、この国の学校は知っていることが優先なのだから、これはもうしかたがない。
 考えても見よう。むずかしいセンター入試をくぐりぬけて大学に入ったとたん、受験勉強で学んだことはコロコロと忘れ切ってはいないか!? ここがヨーロッパの学校とは大きな違いなのである。学歴を重視するだけで、教養や周辺知識はどうでもいいのが日本。
 一番、いい例が歴史教育で、エピソードで覚えないから年号と事件だけの丸暗記で試験が終われば何もかも霧の中ということになる。応用することもできないから、その後、やった勉強は何一つ役に立たないと出てくるわけだ。

学習到達度調査

 という国際的調査がある。左のグラフだが、PISAと呼ばれている。「Programme for International Student Assessment」の略で、国際的な学習到達度調査である。OECD(経済協力開発機構)加盟国で実施されているが、日本は 2000年からかなり順位を下げている。
 読解力にいたっては8位から15位まで下がった。最近、中学校の先生から「たった5行の文章題の意味 が分からない子が増えている」という話も聞いた。数学の文章題ではかなりまえから小学校高学年でこの問題が叫ばれていたが、最近はどうなのか。昔に比べて大多数の子が塾に行っていてこれでは大変である。
 以前に比べて塾に通う子は格段に増え、学校でも詰込み!、詰め込み!だ。しかし、結果、20年で激下がりというのはどういうことなのだろう。科学的応用力や数学的応用力も下がっ てきている。そう見えないのは特別な生徒だけを報道して、いかにも「科学立国の教育だ!」と宣伝しているだけのことなのではないだろうか。 PISA は、3年ごとに読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの 3 分野の習熟度を試験で計測するわけだ。ここで は学校で習う基本的な知識に加えて、自分たちの生活に活かすことができるような発展的な内容も出題されるから日頃の関心度や教養の程度が物を言う。
 調査では、思考力や応用力が問われる自由記述問題が比較的多く出題されることが特徴 的なのだが、これは日本の子どもは苦手だろう。教えられたことしか答えるようにできていないからかもしれない。 教養より学力と言う人々 この調査試験は学校でのふつうの学力試験や学習ドリルの問題形式とは ちがうから、子どもは違和感を感じるのではないだろうか。プリント型学習、 パターン学習のタブレット型学習ではさらに身につかなくなる。

どんどんヤバくなる教育

 ところが、2018 年の PISA では調査に、国際的な課題への理解や文化的への価値観や態度を評価するテストが加わった。おどろいたのは日本がこの調 査のみ参加を見送ったことだ。キタネー国だね。20年間の順位下落の原因 の一つには、日本の子どもたちの自由記述問題への無回答率が高かったこと ことがあるので、悪い結果が出ることを恐れたとしか思えない。 書かれたテキストを読むだけではなく、理解・利用・塾考する能力をつけ ることが大切なのだが、これがうまくいくかどうか。幼児からアニメばかり見て、小学校はゲーム、その先は SNS 依存で は、PISA 型「読解力」など無理と言うものだろう。さらに文科省は高校で「情報1」という科目を 2022 年度から導入す る。これでは、さらに読解力から頭が離れていくことだろう。
 もうすでに基本がアウトという事態も起こっている。読めない・記述できないという問題は、すでに最高エリートの政治家の間でさえ、見えるではないか。官僚原稿(事実の列記)ですら読み間違えたり、字が書けなかったり。なにも東大王の異常なクイズに回答する字やクイズのレベルではない。ごくふつうの漢字や言葉なのである。それすらクリアできていなくて、文科行政 まで仕切る人たち。すごい国になったものだ。そのうち、誤字脱字だらけの、このゆめやの新聞のような本→が続々と出版される時代になるかもしれない。(つづく)

いじめの構造 ⑧

 2019年度のイジメ件数は史上最多(61万件)で、小学校が全体の半数以上を 占めている。大人社会のイジメはふくまれていない。これが意識改革や滋賀県 が行った AI でイジメ予測をして対応するということで解消できるのだろうか。 この原因は根深い日本人の精神性の中にあるから解決はなかなか難しい。
 ⑦からの続きになるが、日本にはイジメを罪として考えず、うまく逃れてしまう文化が(これまでずっと述べてきたように)あると思うのである。
 信心深くもない若い親が七五三で自分も子どもも着飾る。初詣はヤンキーの ねえちゃん、にいちゃんでゴッタがえす。祈りに行くわけでもない。教えを受けにいくわけでもない。教えを受けずに祝福だけは受けようというのが神社に行く能天気な人々である。もっとも神社というのは祈願とお祓いをするところで他にはほとんど何もしない。教義はないし、戒律もない。お祭り行事は、イケイケドンドンのヤンキー性が作り出したものだ。浮かれるだけの話。昔は(かなり大昔)産土神であり、地域の安全と安寧を守る鎮守だった神社が、いつ(明治)からか国家と結びついて天皇崇拝にまでいった。

いじめの原点

 宗教なのにこれはおかしい?! 原因は何なのだろう? 米国に占領されて精神までアメリカ化したからか? いや、これはたかだか七十年ちょっと前から起き始めたことだ。これとは違う原因があるのではないか。どこかもっと底 の方で、おかしなことを、この若い人々の行動や考えをさらに進める何かがあるはずなのである。パワハラ、セクハラ、 虐待、イジメ、衝動殺人、親殺し、子殺し・・・隠蔽、改竄・・・小悪から巨悪まで。罪を犯しても平然とできる精神 の背景がここにはないのだろうか。 2000年前からの責任解除の習慣性 ある! 前述の「六月の晦の大祓(みなつきのつごもりのおおはらえ)」の祝詞だ。 この前文には、この国ができた経緯が描かれている。いわば国作り。男女の神が矛(ホコ・武器)で海をかき回してできた伝説。武器で国ができる。すごい話だ。そして神々 が九州に降りてきて、もともといた人々に「国を譲れ!」と迫った。最初の巨大なイ ジメである。神話だとバカにしてはいけない。その神話を基礎にした神社が日本中に は山ほどあり、人々の精神性をつくっている源になっているからである。 しかし、古事記・日本書紀その他の古代文献には、どんな戦いがなされたかは書いて ない。だが、祝詞には、その「国を造った人たちの犯した罪」を消す方法が書いてあ る。古事記・日本書紀はさらりと国譲りのことを書き、脅した結果、すんなりと出雲 が国を譲ったとある・・・そんなわけはない。侵略者に抗戦をしてやっつけられたはずなのだ。そのとき侵略者側は何をやったか!? それは戦争の常、略奪・強奪・強姦・非戦闘員(高齢者や子ども)の殺戮だろう。壮絶なイジメである。 それが酷すぎた結果、やった側の人々の中には罪の意識が生まれ、一種のPTSDが起きた。ベトナム戦争やアフガン戦 争から戻った米軍兵士が銃の乱射事件を起こしたり、覚せい剤漬けになって殺人や放火を繰り返したのをみればわかるだろう。日本人も太平洋戦争ではひどいことをしたが、誰もが沈黙している。
 どうしてか? それはイジメる側、残酷なことをする側の罪が「大祓」の考え方で消えてしまうことが原因だと思える。ひどいイジメをしても許されるか、うやむやになる国なのである。いじめが酷いところは、軍隊、学校、企業組織だ。そして、そこまでつながる原点が出雲征伐・・・イジメには2000年の歴史があるというわけだ。

おたより

山下真之介・さやかさん 朔永くん (小3) スロベニア

 イタリアの隣に位置する人口 200 万人の国スロベニアでは、現在1500人/日の感染 者が確認されています。5月14日にヨーロッパで唯一、終息宣言を行った国ですが、その後国境を開くと旅行客が押し寄せ、9 月から再度感染拡大。そして 10月現在では、スーパーや薬局など生活必需品以外の販売店は閉まり、夜間外出禁止令が出ています。 ヨーロッパ各地では、度重なる規制によりデモが発生し、少々危険なイメージがありますが、スロベニアは若干違います。
 スロベニア人は、礼儀正しく時間に正確で、性格はシャイという日本人に似た性格なので、町行く人々はマスクを着けてソーシャルディス タンスにも気を使っている様子です。ですので、外を歩いているときのストレスは少ない のかなと感じています。読書家が多いのもスロベニア人の特徴です。 私達家族は、部屋に籠る時間が増え、外へ出かける機会も減ったので、それぞれに 本を読んだり、ラビリンスやラミィキューブなどのボードゲームをして楽しんでいます。最 近は、私の大好きな本の一つである五味太郎さんの「ことわざ絵本」を使って、書かれている解説文からことわざを当てるゲームをしています。なかなか難しいですよ。 この生活が何か月続くのか、先行き不安ではありますが、この状況だからできること、この年齢の子どもと一緒だからできる ことって、いっぱいありますね。親としていつも以上に試されている気がします。
ゆめやより
 いつもおたよりをありがとうございます。スロベニアなんて、まったく行ったことがないところなので、すごく関心があります。きわどいところをかすめて旅行したことがありますが、当時はユーゴスラヴィアでした。行ってみたいなと思います。町並みはどこもほんとうにきれいですね。電線がないというのがいい。日本では写真を撮っても電線だらけで、このへんから変えていかないと文化的にまずと思ってます。



(2020年11月号ニュース・新聞本文一部閲覧) 追加分



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