ブッククラブニュース
平成31年9月号(発達年齢ブッククラブ)

台風一過、秋風が立つ甲府です。

 暑さ寒さも彼岸まで・・・たしかにお彼岸には秋が感じられます。残暑はきつく、台風の爪痕がまだ残っていますが、時間はきちんと流れていきます。それにしても千葉の台風被害はひどいもので、被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。千葉県に住む会員の方には、現会員はもちろん、卒業した会員でも住所のわかっている方は全部出しました。千葉は比較的お客様が多いところで100通を越えました。卒業会員の中にはもう転居されてて戻ってきた方もいましたので、とりあえずHPでお見舞い申し上げます。
 もっとひどいのは政府の無関心な対策・いい加減な対応でしたが、日本国民は我慢強く、みんな天のせいにして諦めます。でも、ふつうね、近代国家で一回の台風被害で20日も停電が続くというのはないですね。それに政府が千葉県に台風被害対策として出したお金は14億円弱・・・でした。イージス艦が一隻1200億円、F35戦闘機が130億で100機も買う。それなのに千葉県に出したお金は14億円。冷たいとか、そういうことを通り越してやる気がないとしか思えませんね。
 今回だけということではないので、こういうことはずっとあるのです。2014年、山梨の豪雪、一晩で1m50cmの雪が降り陸の孤島になりました。それなのに救援が来ない。テレビは冬季オリンピックばかり報道している。ひどいものでした。2016年、北九州の豪雨、2018年、岡山・広島豪雨・・・このときも対策会議すら開かず、閣僚は宴会をしていたそうです。そして、今回の千葉の被害、近年まれにみる惨状なのに、政府の動きは遅かったです。なんだかおかしいですね。ミサイルが飛んでくるとなると異常な訓練を強いるくせに、肝心かなめの災害には何も動いてくれない。もっと温かい政権にしないと次世代の子どもたちがさらにひどい目に遭います。我慢していいものと悪いものがあります。我慢は美徳ではないですよ。
 これから、さまざまにその冷たさが社会に満ち溢れてくるでしょう。そこを台風が暑苦しさを払いのけたように、私たちの力でさわやかなスッキリとした秋空を作りたいものです。

おでかけのあとに

 夏はどこかにお出かけでしたでしょうか。田舎の実家に一か月も行っていたとか、恐竜を見に福井まで行ったとか、海水浴は伊豆半島にとか、いやいや能登半島へ・・・なんて話題がお便りで寄せられます。
 忙しい時代ですが、親は子どものために仕事の合間を縫って、ちゃんと「いつもと違う日常」を用意してますね。そんなお便りを読むたびに、「みんな、がんばってるなぁ」と思います。我が家も昔は、夏には民宿や旅館を利用して海や山へ子どもを連れて行ったことを思い出します。
 いまでは連れて行った私の子どもたちが、また同じことを自分の子どもたちにしています。楽しい思い出を持つ子は大人になった時にちょっとやそっとの大変さには負けない人間に成長すると信じます。たくさんのものを見て、いろんなものを感じ取ってくれるといいですね。
 日本の教育は日増しに考える力、感じる力を削いでいく方向にシフトしているようです。幼稚園も学校もマニュアルで行事をこなし、勉強を詰め込む・・・子どもたちの親も、そういう詰め込み教育をされ、偏差値でしかものを見られなくなっているので、否定的に見ません。受けた教育の影響は大きいものがあります。まさに「唯唯諾諾」という感じに見えます。子どもたちが生きる時代、つまり十年後くらいから世の中が激変するのに、与えられたものでしか動けない人間になったらどうなるんでしょう。
 この時代が、このまま直線的に発展するなんてことは、普通に考えればありえないでしょう。今が良ければいいというのでは無責任もはなはだしく、「それは子どもが考えること」と言うのではさらに無責任。この面でも大人は努力をしなければなりませんね、子どものために・・・。時代の総崩れは五輪前にくるという想定もあるくらいです。実際、政治もかなりヒドイものになってきて、それに比例して治安も悪くなり、昔は考えられないようなことが起き始めています。

字のない絵本・想像力や考える力

 危険を察知する力でもあります。あまりにもひどい不可抗力の偶然もありますが、想像力や思考力は家庭内のゴタゴタから社会的事件まで、その被害を避ける力になると思います。この力を子どもにはつけてもらいたいです。
 ただちょっと心配なこともあります。例えば、配本でときおり字のない絵本を入れます。年齢によって違いますが、数冊は入るでしょう。たとえば「木のうた」とか「あかいふうせん」。「はるにれ」とか「おふろやさん」「ふしぎなえ」などですが、どれか読んだ(?字はないですけど)ことはありますね。15年ばかり前は、この読み方を質問してくる会員は皆無でした。なんらかの方法で自分なりに読み聞かせたからです。それでいいのですが、最近のお母さん方の中には、そういう工夫ができない(つまり読み聞かせの正解があるのではないかと考える)方々がいて、尋ねてきます。学校が直感や工夫を大切にせず、知識を詰め込んだ結果です。国語まで「答えは一つ」に傾いた結果の影響が出ているというわけですね。そして、自分で考える力は捨てて、答えを求める・・・子育てをネットに聞いている親もあると聞きます。これでは先を読めない。やはり、親もいろいろな本を読んで自分の考えを固めていかないと、いまに子どもに逆襲される事態になりかねませんよ。字のない絵本は、強力な想像力育成の本でもあります。(ニュース一部閲覧)

上下のない地図

 夏の始まるころに地図の本を入れることが多い。基本配本では「森の地図」とか「ぼくらの地図旅行」、「黒部の谷のトロッコ電車」などが入るから目にした人もいるだろう。副読本では地図の絵本や世界地図、日本地図などが入れてあり、これに凝ってしまう子もいる。なぜこれらを選ぶかというと「自分のいる位置」を知ることが大切だからだ。
 もちろん、それだけではない。地点・場所というのは必ず時間というものを持っていて,地理と歴史は交錯しているものである。観光旅行で「行った」「食べた」「見た」だけの人もいるが、そこの歴史や風俗を知ることなく旅するというのはちょっとミーハーな感じがする。空間は時間でもできているのだから時間も知りたくなるのが人の心というものだ。
 ところで一般的に女性は地理に弱く、男性は地理に強いというが、どうなんだろうか。これだけスマホやタブレットで地図がたやすく利用されると男性でも地理に弱い人が出てくるかもしれない。もともとの素質は消えてなくなることもある。まずは地理を知り歴史も知るようにする・・・・重要。

おじいさんは山に〜、おばあさんは川に〜

 太古の昔、男は狩りでエモノを何日も追いかけて、仕留めるとそれを村に持って帰ったものだ。早く帰らないと腐ってしまうから最短距離を帰る習性ができる。それを決める方向感覚は山の形、川の位置、森の様子などを覚えておくこと。この能力を発揮すると地理感覚がしっかりとできてくる。車のナビでそれができたらいいのだけど、そんな力はつかない。私は長い間、バイクで配達をしてきたが、方向を決めるのは太陽の方向ではなく全部山の形。甲府は周りがグルリと3000m級の山々が並んでいるので方角は一目瞭然。
 また、古代の女性は村にいて、イワナがどこで取れるか、栗の実はどこで採集するか、山芋はどこを掘るかが仕事だから、どこに何があるかの記憶がただならぬほど発達する。実際、我が家では物を置き忘れてどこか探し回るのは私だが、私の所有物のありかまで知っているのが、ゆめやのおばちゃん、瞬時に「それはあそこ!」「あれは、ここ!」と教えてくれる。無意識にありかを頭に入れているのだろう。しかし、地理には弱く、何度行ったところでも曲がらねばならないところなのに曲がらずに真っすぐ走ることも多い。まだまだ男女の違いは大きい。歴史の中で刷り込まれた遺伝子はいまでも機能しているというわけだ。
 では、男は地理に完璧な力を発揮するかというとそうではない。意外に刷り込まれた地図で動いたり考えたりしていて、決められた見方しかしないこともある。たとえば、何で北海道が上にあり沖縄は下なのか。北が上、南は下と誰が決めたのか。古代人はそんな認識はないから近い遠いで考えていたように思うがどうだろう。

ぐるっと回してニャンコの目

 たとえば、日本地図を横倒しにしてみよう。まるっきり、われわれが抱いていた感じとは違う位置関係が見えてくる。こう見ると日本海は湖のように感じるし、日本列島は天橋立のような弧状の地形であることがわかる。この地域が一体であることはハッキリ見えてくる。物が北と南から入ってくる飛び石列島。決して独立した島国ではない。ここは、友好関係を持たないと分断される危険もでてくることがわかる。それが「横にした地図」からは見えてくるのだ。いつも地球儀の真ん中にあるのが日本。こういう刷り込みはあぶない。
 こうして、頭を切り替えなければ、また悲惨な歴史を繰り返してしまいそうだ。大昔、出雲の国の人々は北朝鮮や韓国またロシア東部との交易をしていたし、多くの日本人は朝鮮半島を経由してやってきたこともわかっている。江戸時代だって隣国の通信使の行列が下関から江戸まで歩いていたのだ。ところが明治に征韓論が始まって朝鮮の蔑視が始まると朝鮮のことは何も教えられなくなった。朝鮮の風俗がどういうものかを知るのは韓ドラが始まってからのことだ。
 空間認識を変えれば歴史認識も変わる。学校もクイズ王ばかりつくるのではなく、アイディア豊富な人間ができるようにいろいろな工夫をしてもらいたいものだ。(新聞一部閲覧)



(2019年9月号ニュース・新聞本文一部閲覧)

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