ブッククラブニュース
令和7年
3月号(発達年齢ブッククラブ)

2025年・3、4月の予定

定休日は日曜、月曜、祭日です。
 それ以外の休業日は、3月は20日の春分の日が休業。
4月は29日が祭日のため27,28,29日の三連休となります。
祭日が火曜となっているので、日曜・月曜の休みで連休です。
休業日・時間外受け取りは事前にお電話ください。
外出していないかぎりOKです。また前日のご連絡なら在店するようにします。
通常日の営業時間は午前10時30分〜午後6時30分(夏時間 3月3日から)
 受け取りの方で午後6時30分以降に来た方は電話かピンポンで呼び出してください
 なにしろゆめやは零細商店ですので「昭和」の感覚でお出かけください。たいてい在店していますので店を開けます。ご遠慮なくどうぞ。たまに買いものに出かけているときもありますが・・・。

屋号のいわれ・その1

 今年の3月3日で、ゆめやは45周年を迎えます。これもひとえに、このような小さな店を信頼してくださり、おつきあいくださった会員の皆さまのおかげです。45年という長い月日の中で会員になってくださった方々には感謝以外の何物でもありません。こころよりお礼申し上げます。
 このニュースのバックナンバーをご覧ください。499です。一度も休刊はありませんでした。だから、12で割ると約42。開店3年後からブッククラブを始めたことがはっきりわかります。
 さて、その45年間、皆さんが「ゆめやさん」「ゆめやのニュース」と呼んでいただいておりますが、多くの方が、この屋号のいわれを知らないと思いますので、今月はその説明をしたいと思います。
 じつは「いわれ」は二つあります。その二つに登場する屋号が共通して、なんと「夢屋」だったので私は、絵本屋らしくひらがなで「ゆめや」としました。

浮浪雲

 まず、いわれの最初です。それはですね。若い方々は知らないと思いますがビッグコミックという雑誌が1970年代に発刊されて、その中に長編「三丁目の夕日」や「ゴルゴ13」と並んで「浮浪雲」というのがありました。
 これも、あしかけ45年続いた長編です。「三丁目の夕日」や「ゴルゴ13」はまだ続いています。
 「浮浪雲」の主人公が「雲」さんという仕事はしないが、遊びは大好き、長い刀を持って着流しでブラブラしている人でした。仕事(運送業)はおかみさんと番頭が仕切って、しっかりやってます。だから、雲さんは遊び回れるわけですが、この世の悪にはきびしい正義の人。年中、悪い奴と戦ってやっつける・・・これがカッコいいんですね。やがてテレビドラマにもなり、雲さんを渡哲也、おかみさんが桃井かおり、番頭が谷啓。これも連続ドラマでしたから記憶している方もいるかもしれません。
 その運送業の店の名が「夢屋」でした。「なーんだ!漫画から取った屋号かぁ!」という人もいますが、私としては仕事は母ちゃんにまかせ、遊び人をしながら世の中の悪を斬るというのが魅力でした。ただ、番頭が雇えなかったので、現実の「ゆめや」では雲さんは朝から晩まで働き続け。しかも最初は二人の娘の面倒をみながらですから、こりゃあなかなか漫画のようにはいかない「ゆめや」でした。
 でも、まあ、この酷いご時世に適切な本を長い間送ることができたので、運送屋「ゆめや」は、あるていど漫画並みになったのではないでしょうか。酷いご時世なので、周囲の悪はしぶとく居座っています。斬れども斬れども悪の芽が生えてきますから、ゆめやの長刀も刃こぼれしてますが・・・。

このまま行けるとこまで

 信じられないでしょうが、多くの書店が持っている図書館納入権、教科書販売利権などで命をつないできたわけではありません。すべて個人顧客なんです。
 お上の力にすがりつきたくなかったのです。雲さんのようにね。
 相手はみんな目に見え、話すことができる会員のお客様だけです。組織相手ではなく、お客様個人と会話し続けた45年でした。
 これからも「ゆめや」の雲さんは長刀が刃こぼれするまで悪を切り、おかみさんは信頼できる本をお届けしますので、お見限りなくおつきあいください。
 「なーんだ、屋号は嫌っている漫画からか!」と思った方もおられる方もいるかもしれません。でも漫画にも良いものもあり、悪いものもある。「三丁目の夕日」「ゴルゴ13」いまだに「ゆめや」の雲さんは読んでますよ。(笑)

屋号のいわれ その2

 埼玉の草加というところに住んでいたことがある。草加は東武線の駅だが始発は東京・浅草。父が葛飾区の生まれなので、親戚は江東区、台東区、墨田区に点在した。墨田区には子どものころから私をかわいがってくれた叔母がいた。子どもがいないので私を自分の子のように可愛がり、ほんとうによくしてもらった。東向島に住んでいたので、最寄りの駅は東武伊勢崎線の「曳舟」である。
 叔母は甘いものが好きで、ある日「駅の近くに今川焼屋ができたから買って来て!」と言う。探すと、すぐ見つかった。屋号が「夢屋」だった。
 目がぎょろッとしたオヤジが、「いくつ?」と言い、私が「五つ!」というと出来上がっているのを派手な柄の紙袋に入れてくれる。お金を払うと袋を渡してくれるだけ。何度行っても「毎度!」もない。でも、甘党なので、今川焼の魅力には勝てず、よく買いに行ったものである。その派手な柄の今川焼の袋だが、なんとこのデザインは芸術的なデザイナー・横尾忠則の手になるものだったという。私も叔母も今川焼を食べるのに夢中で、その袋はいつも破いて捨てていたのだが・・・・・。
 ところが、二年後にその曳舟の夢屋が新聞に載った。「・・・・・楢山節考で有名な作家・深沢七郎さんが曳舟駅近くの今川焼の店「夢屋」を閉店し、埼玉で仲間が集まる施設をつくった・・・・というものである。うわっ、あの不愛想なオヤジが作家の深沢七郎だったのか!とびっくりである。

姥捨て山と悲劇の川

 深沢は甲府の隣の町・石和の出身。山に老人を捨てる姥捨てを童唄とからませた「楢山節考」、武田信玄の盛衰の中で悲劇に陥る家族を書いた「笛吹川」、どれも名作である。これらは皆さんにもぜひ読んでもらいたい。二つとも現代に通じる作品で映画化もされた。あの「戦場のメリークリスマス」で、カンヌ映画祭優勝を目指して乗り込んで行った大島渚の前に立ち塞がった映画「楢山節考」。緒形拳がデビッド・ボウイや坂本龍一、北野武らの名演を抑えて、見事パルム・ドールを獲得した。
 そんな作家が今川焼屋をやっていたというのには訳がある。彼は、その少し前「風流夢譚」という本を中央公論社で出し、天皇・皇族の首が飛ぶという場面を描いた。
 これに右翼が怒り、中央公論の嶋中社長を刺すという事件が起きた。これで深沢は筆を折った。だが、社会の底辺の人々に思いをかけた作品を書き続けた姿はすごい。この考えは引き継ぎたいと思う。
 私は、深沢の本は高校時代に読んだ。「山梨からすごい作家が出たなぁ」と思ったが、SNSもない当時のことだ、顔も知らなかったというわけ。
 もし知っていたら、今川焼屋「夢屋」で甲州弁を使えばよかった、と思う。だが、江戸のド真ん中で甲州弁はかっこわるい。
 でも「今川焼、五つ、おくんねぇ(ちょうだい」!」と言えば、深沢は「なんでぇ、おまん(あなた)は山梨のもんけぇ!」と返してくれたはずなのである。残念!

だが、世間は狭い

 この話をブッククラブの会員の保坂久美子さんにしていたら、「ウチの親戚ですよ!顔も覚えている。」という。「山梨は狭いなぁ」と思わざるを得ない。で、イラストで深沢七郎の顔を描くと?「そうそう、こんな感じ!」と言う。
 「じつは、その深沢七郎さんの今川焼屋の屋号を勝手にもらって『ゆめや』にしたんです」と言うと、彼女は、深沢の今川焼も「夢屋」の屋号も知らず、おどろいていた。
 深沢七郎の生家は石和駅前通りを南下して旧の旧甲州街道とぶつかる角地である。いまは血筋を引く人が「幟(のぼり」」という屋号で日本蕎麦のお店を開いているらしい。「夢屋」という屋号にはしなかったようだ。
 でも、まあ、同じ甲州人の私が屋号は引き継いだ。だから屋号「ゆめや」は2つのいわれがあるというわけである。
 店にしても人間にしても名前は重要なものである。わけのわからない横文字の名も現代的でいいかもしれないが、語感が希薄だと商売も希薄になる。名前というのは名は体を表すものだが、じつは体が名を表すものでもある。いくら屋号をつけても3年で廃業では悲しい。そういう浮いては沈む水商売や現代的な稼業が山ほどあるしね。
 商売は生き方であり、屋号はその生き方のシンボルでもある。二人の夢屋の主人たちに負けぬ商売と生き方ができてきたのかなあと思う。できなかったとも思う。でも姿勢だけは真似できたかな、と身勝手に考えている。

読み聞かせについて⑫
まとめ その1

 配本をしていくと、各段階でいろいろ読み聞かせ方法がわからなくて質問してくる方も多くなったので、その内容に答える形で「読み聞かせ方法のまとめ」をしようと思います。1歳から6、7歳までのご質問に答えたものです。ご参考に。

【音読を聞く時期】
聞いていないようでも相手をする

 子どもはお母さんのおなかにいるころから耳が聞こえます。その力がやがて大人が話す言葉を聞いて言語に習熟する力となります。ただ0歳初期は本は物として認識するだけですので、内容を意識的に見て、聞けるのはだいたい生後10ケ月くらいです。それまでは語りかけでじゅうぶんです。世話をしてくれる親の声が快く聞こえればOKです。だから配本はここから行っています。
 母語がまとまって確立するまでは5,6年かかりますので、この最初から3歳くらいまで読み聞かせは大切です。絵本もそうですが、生活行動と重なる言葉が母語確立の基本ですからね。話しかけることも重要ですが、口語で赤ちゃんと話すのはちょっと大変なので、ここが絵本の出番です。
 はじめは物として本を扱うかもしれませんが親が絵本の内容と関わりのある話をはさめばひじょうに効果的だと思います。「おいしそうだね。」「このネコはかわいいね。」・・・それを見たり触ったりの体験につながると、さらに効果的な結果を生みます。はじめは聞いていないような感じの子もいますが、読み続けたり語りかけ続けたりすれば聞く力は育ちますから心配はいりません。2歳までに読み聞かせが習慣づけられれば、最初の成功といえます。

【2,3歳の読み聞かせの時期】
大きな声とか身振りで読み聞かせるのは?

 読み聞かせは、声優や俳優のように感情をこめて伝えるようなものではありません。 感動を与えようと妙にインパクトのある読み方をすると、聞く方も疲れます。同じものを何回も読むのですからね。
 技巧をこらして読んだり、感情をこめて読んだりするのは相手が大勢で、演出しなければ効果が出ないときはしかたないです。でも強く、わざとらしい読み聞かせは、話の流れ、お話の内容を損なってしまうことが多いのです。
 棒読みにしろ!、感情を込めるな!と言っているわけではなく、ふつうに読めばいいのですよ。 絵本は、子どもが絵を見ながら聞いているものですので、聞きながら想像したり、どんな展開になるかを期待しています。
 ふつうに読み聞かせて行けば、自然に内容が子どもの目と耳から入り込み、どんなことかがわかります。この「自然」を大切にすれば、すんなり内容がつかめていくと思います。
 しいて言うなら、早口でパタパタ読むのではなく、ゆっくり話をかみしめるように読むことでしょう。速い口調だと、子どもが付いて行かれなくなることが多いからです。

【読み聞かせでよくある親の癖】
本に書かれていることと本から引き出すもの

 絵本は教科書ではないのですが、親御さんの中にはそのページにあるもの、出てくるものに「これは何?」とテストを繰り返す人がいます。それに対していちいち答えなければならないとしたら気楽に楽しめませんし、話の内容が崩れてしまいます。
 もちろん図鑑なら、「これは何?」は可能でしょう。でも2歳児の覚える力はものすごいものがあり、2度か3度で80%は覚えてしまうのです。まあ、確かめとしては「これは何?」もいいでしょうが、そんな成績重視型の親は嫌われますよ(笑)。
 なにごとも基本は楽しく!です。楽しくなければ子どもは本から遠ざかります。大人と違い、子どもは本の描き語る世界に入り込むことができるのです。本に書かれていることをそもまま受け取ってもらいましょう。間違い、誤りはいずれ子ども自身が直していきますよ。

新学年会員には来年度配本表を渡します

 お子さんの読書の状況を見て、グレード変更したい場合はご相談ください、
 プログラム関係のご相談は、ご来店か、メールでお知らせください。
 基本配本Bに他のコースを加える方はメールでご相談ください。対応します。
 また、他のコースだけの方もお知らせください。四月配本は遅れる可能性もあり!ですが・・・
 最近、低学年での読書挫折が目立ちます。原因はいままで述べてきましたが、読み聞かせの不足、デジタル機器の二つが問題だと思われます。長文が読めるか読めないかは7歳くらいまでの本とのかかわりで決まります。がんばって! 

本とともに過ごしてきて

 山梨県甲斐市 M美沙貴さん Miwaさん(小6)
 ゆめやさん、今まで大変お世話になりました。
 配本をいただき始めた時期が遅かったのですが、たくさんの本に触れてきた娘は、とても本が好きな子に育ちました。ゆめやさんの本は、ふだん娘が選ばないような本もあり、多くの種類の本に触れることが出来ました。学校生活の様子を見ていると、今まで配本を続けてきて良かったなと思います。
 小さい頃に娘が好きだった絵本は、「みつばちみつひめ」や「こんとあき」でした。寝る前に、何回も読み聞かせをした時間を、とてもなつかしく思います。また、娘に「じょやのかね」の本を読み聞かせた時に、除夜の鐘に興味を持ち、娘と除夜の鐘をつきに行ったことは、とても良い思い出になりました。
 ゆめやさんの本を通し、読み聞かせ以外にも親子で楽しい時間を過ごすことができました。
 ゆめやさん! 本当にありがとうございました。

ゆめやより

 長い間毎月きちんと受け取りにきていただき感謝です。ご来店のときの対話がなくなるかと思うとちょっと淋しいですね。かわいらしい三姉妹のお子さんたちも、あっというまに大きくなって、時間の経つ速さにおどろいています。十年一昔、早く過ぎ去ります。またお嬢さんを連れて遊びに来てください。長い間ありがとうございました。

発送会員の方へ

 ニュースを2ケ月まとめて送付ということがあります。
 封筒・文書用紙・印刷用紙など通信に必要なものの価格が約1.5倍に。さらにひどいのは郵便代の値上げ。ハガキ、封書を通信に使うゆめやにはたまらないものがありますが会費・通信費などの値上げはよほどの高騰がない限りしないつもりです。開店以来44年間、すべての経費を一度も値上げをしなかったので、かなりキツイのですが、ここはなんとか踏ん張ります。どこまでできるかですが・・・・。
 書籍の利益はひじょうに少ないので大変です。皆様にご迷惑がかからぬように工夫で乗り切るよりありません。このため2ケ月分ニュース・新聞をまとめて送ることや個別通信も同封することにしました。毎月、欲しい方はご連絡をお願いします
 振替・振り込みのお礼をハガキで行ってましたが、そのハガキは翌月のニュース・新聞に同封します。日本郵便が6月からまた何か値上げを考えているようです。
 ●ですから、配本代の振替・振込は、できるかぎりお届け1ケ月以内にお支払いください。そうしないと返信が遅くなります。これまでは請求督促をハガキで出していましたが、お支払いが遅くなった場合は督促代を加算します。ご注意ください。
 ●振り込みの方は、振り込んだことをメールでお知らせくだされば確認は返信で連絡します。
 すべてこれまでの政治の悪影響。国がすべきことをしないようにした郵政改革はしてはならないことでしたね。
 アメリカが郵政民営化をしろと圧力を受けて小泉劇場が民営化を行いました。郵政労組が小泉選挙を応援しなかった私怨のようなものですが、当のアメリカは郵便は国営です。こういう公共事業は採算ではなく国民への福祉ですから利益や採算を考える組織ではうまくいかないのです。これを見抜けなかった国民の頭の悪さも、今の状態をつくった原因のひとつでしょうね。



(2025年3月号ニュース・新聞本文一部閲覧)

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