ブッククラブニュース
平成28年7月号(発達年齢ブッククラブ)

七夕

 7月・・・毎年、園田さんというおばちゃんが笹竹を持ってきてくれます。いつも、来店する子どもたちに小物のおもちゃをつくってくれている人ですが、「七夕飾りに使ってください」という御厚意をうけて店先に飾ります。
 店のテーブルには短冊があって、子どもたちに思い思いの願いを書いてもらいます。字の書けない小さい子は、お母さんに書いてもらったり、絵を描いたり、大きい子は「自分の願い」を書きます。何枚も書く子もいます。そして意外に真剣な手つきで笹の枝につるしてくれます。これはだいたい7月中半まで飾っています。半月くらいの間に、いろいろな子がいろいろな願いを書いてくれて、これが梅雨の雨、梅雨の風の中で揺れる姿は夏の風物詩です。ヤブ蚊を払いながら、読んでいると、まったく子どもの夢は多様でおもしろいです。

願いごと

 「じてんしゃにのれるようになりたい」、「ケーキやさんになりたい」、「おじいちゃんのびょうきがなおりますように」、「じがじょうずになりますように」・・・短冊にはかわいらしい願いがいっぱいです。
 「人の役に立ちたい」という社会性を小さい子どもが持っているんですね。
 ひょっとしたら人間が先天的に持っている思いのような気もします。我が家の孫娘も、私のところに「はい、どうぞ!」とコップやペン、メモ帳や手紙を持ってきて世話をしたがります。「人の役に立ちたい」という思いがあるのでしょう。まだ2歳にもならないような子が、こういう力を示してくれます。
 ところが、年齢が大きくなると「自転車がほしい」とか「おこづかいをもっとほしい」とか「ゲームがほしい」などの自分の希望に変わります。もう少し大きくなると「サッカー選手になってお金をもうけたい」とか「テレビに出て、いい生活をしたい」という現実的な欲望が出てきます。
 好意的に考えれば、そういう夢もどこかで人の役に立つのでしょうが、「なんだかなぁ!」、「大きくなると失われるものもあるのでは・・・」なんて思ってしまいます。まあねぇ、他人を巻き込まなければ、人の役に立たなくてもいいのですが、大きな欲はとかく他人に迷惑をかけることにつながりますので、願いもほどほどにしないとね。
 ↑上のカットは、画家の堤春生さんにお願いして使わせていただいています。これから毎月、季節に合った堤さんの絵を掲載します。

願いはかんたんにはかなわないが・・・

 いつも7月7日の甲府は曇り空か雨模様です。なかなか、織姫と彦星の出会いはかなわないようですが、どこかほかの場所なら美しい天の川が見られるかもしれません。
 願いというものは人生の上でもなかなか、かなわないものです。でも、悪いことをやらず、欲もたくさんかかなければ自分では気が付かなくても願いがかなっていることもあります。私たちには子どもがいます。この子どもたちは何にもまして「宝」です。
 子どもの安全と幸福を七夕の星に願うか、何もせずに世の中まかせ、国まかせにするか、「次世代を考える」というスタンスで考えていく必要があると思います。現代はあまりにも自分たちの欲ばかりで動いているような気がするのは私だけではないでしょう。何もしないで国にまかせていたら大変なことになるかもしれません。もう遅いかな。

暑中お見舞い申し上げます

 また盆地の暑い夏がやってきています。7月になったとたん、すぐに全国最高気温の山梨。たまりません。このお便りが届くころには、日本の近未来を決める選挙も終わっていると思いますが、民主主義国家最後の選挙にならないことを祈るばかりです。
 「ゆめやさんはなんでも心配しすぎ」という声も聞こえてきますが、ほんとうのことを隠して選挙で勝ったら、「さあ、この道を前へ、力強く」と言うので行ってみると、その道が「いつか来た道」ということは大いにあります。
 そして、どうも日本人は「その道」を選択しそうです。なぜなら、多くの人々は「むずかしいこと」はわからないのです。「改憲」ということもわからない。いままでのことを見てくれば、選挙で勝つためには、みんな都合の悪いことは封印していました。そしてマスコミさえ押さえて情報が流れないようにしてきたのです。これは悪質です。年金を5兆円も株でスッてしまったことも何も言いません。聞けば、株価を押し上げるために何兆円も投機したというのですからあきれます。ところが、そういうことは、一般にはむずかしくてよくわからない。このために、「まあ、投票してもしなくても。いつもと同じように変化はないだろう。」と踏んで、低投票率になります。すると小選挙区制も比例投票も与党側に有利な(これとて知っている人は少ない)ことになります。今度の選挙はいままでと違う。その先が見えない低投票率になれば子どもの時代を危うくする、いや、青年たちの世代をも危うくすることとなります。結果が見えただけに次世代の今後がとても心配です。
 子どもたちの七夕の願いは平和なものです。でもそれを打ち砕くことも起こる。子どものころ、ヨウイチくんは七夕の短冊に何と書いたのでしょうか。シンちゃんは、どういう願いを書いたのでしょう。「じっちゃんの名にかけて、すべてを昔に戻したい」なんて書いたのかな。(ニュース7月号一部閲覧)

さて、また暑い夏!

 太陽の黒点がひじょうに少なくなったというニュースを見ました。寒冷化が始まる予兆らしいのです。
 以前、「温暖化、温暖化!」と騒ぐので、たしか冬だったと思いますが「中国や発展途上国のCO2が増えているのに、なんで甲府はこんなに寒いのだ! 温暖化なんかじゃない。」と書いたことがあります。
 でも夏になると相変わらず全国最高気温を記録したり、40度を越えたり・・・しかし、2015年から黒点活動が減って「寒冷化」が騒がれるようになりましたが、多くの人には聞こえてこないニュースです。「温暖化」と騒ぐのは、温室効果ガスを出さない(ほんとうはすごい熱を出すのですが)原発を続けたいという人々が発信した言葉という話もあります。いろいろな本を読んでなるほどと思うものもあるのですが、地震ひとつ予測がむずかしいので、自然現象を読み解くのはむずかしいです。
 なにがほんとうで、何が嘘かはなかなか一般人にはわかりません。太陽黒点の減少などもっと早くからわかっているはずなのに、起きてみないとわからない・・・先が読めない、予測ができない、知らないうちに、あれよあれよと灼熱(あるいは寒冷)地獄に落ちる・・・うーん、人間の弱点ですね。まあ、なにはともあれ暑中お見舞い申し上げます。

本を読まない人の三大特徴

 自然界の予測、天変地異の予測は無理としても、では、人間の世界なら先を読めるか、予測できるか・・・これもなかなかむずかしいものがあります。ほんとうのことを知る、嘘を見抜く、ごまかしを見破る・・・これができないので、詐欺にかかったり、大損をしたり、・・・事件に巻き込まれたり・・・悲惨なことに・・・なります。
 やはり、さまざまな過去の実例を見て、そこから学ばないと、今の状態がどのように変化していくのか、どんな未来になるのかが予測できません。
 で、先日、保阪正康さんという方の講演を聞きに行き、なるほどと思ったことがありました。保阪さんは、マスコミや宣伝によって乗せられていった戦前の社会の研究をされている方ですが、「大本営発表とか戦時画報の表現を見ていると単純な言葉が繰り返される」と言われました。そして、「それは本を読んでいない人が言う言葉で人を煽ることしか考えていない」とも述べ、その特徴を教えてくれました。本を読まない人とは・・・
(1)形容詞だけでものをかたる
 「かわいい!」「うつくしい」「しっかりとした」など漠然とした言葉、抽象的な言葉を繰り返す
(2)言葉や事柄を定義できない
 ある言葉についての意味や事実の説明ができない。ベラベラと言葉をたくさん連ねて説明したように見せる
(3)5分以上論理的に語れない
 筋道立ててひとつのことを論理的に語れない。5分以上語ると同じことを繰り返したり、矛盾したことでも平気で言う・・・らしいのです。
 でも、意外に、こういう話に乗せられたり、だまされたりすることがけっこう多いことも事実です。先が読めない、見抜けないのは、どこかに原因があるはずなんです。原因はテレビやサブカルチャーでつくられた頭ということもありますが、自分では何も考えない、何もしないで、何か望んでばかりいる姿勢にも原因があるのではないでしょうか。
 豊かな時代を経験すると、すべて「してもらってあたりまえ。」「だれかがしてくれる。」となります。かんたんにいえば過保護で育ったお坊ちゃん、お嬢ちゃんと同じですね。けっきょく、わがままばかりになり、自分がしてもらいたいことばかり要求し、自分からは何もしないということとなります。こういう人間になると豊かで安定した時代ならいいですが、状況が悪くなってくるとジタバタするだけになります。
 言っていることも、本を読んでいませんから、上記(1)(2)(3)で、ほとんど伝わりません。

こりゃダメかな!

 18歳選挙権の関連でアンケートを高校生にしたものを見ました(左)。一見、なんでもない夢のように思えるのですが、すべて「〜してほしい」というおねだりばかりで、自分から「〜したい」「〜する」というものがひとつもありませんでした。
 これじゃ「○○しますよ」「△△しますよ」という手口に乗せられて先が見えなくなるのが、私の目には見えます。
 「こりゃ、日本もダメかな」と思いました。「空港がほしい!」「電車の本数を増やして!」「オシャレな店がほしい!」・・・まるで七夕の幼児のお願いです。豊かさが、この高校生たちから思考力や行動力をなくしてしまっているのでしょうね。行きつくところまで行かんとわからんかな。(新聞7月号一部閲覧)



(2016年7月号ニュース・新聞本文一部閲覧)

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