ブッククラブニュース
平成22年1月号新聞一部閲覧

新年おめでとうございます

本年もよろしくお願いいたします

 2010年・・・つい、この間、今世紀が始まったばかりのような気がしているのですが、もう21世紀も十年が経ちました。時間の進む速さにおどろくばかりです。平成も二十二年・・・私のような老人には平成は最近の時代なのですが、何と平成生まれが二十二歳の立派な大人にもなっているわけで、おどろきです。多くの会員の皆様から今年もたくさんの年賀状をいただきました。ほんとうにありがとうございます。すべて月末まで店頭に展示させていただきます。来店受け取りの方ばかりでなく、配達の会員の方もたまにはぜひ御来店ください。時代の暗さに負けていない子どもたちの笑顔がたくさん輝いています。この笑顔は消したくないですよね。それもこれも子どもの心にどう寄り添うかにかかっているわけで、政治経済の混乱の中で大人の正念場になりそうです。子どもの立場に立って大人が世の中を見ることができれば、もう少し良い世の中になるのですが、下は自分の自己実現の欲から始まり、上は国益優先まで・・・・子どもの立場に立って大人として生きる人が少なすぎます。
 今年もゆめやは読み聞かせを通じて、さまざまなことを考えていきたいと思います。なるべくわかりやすく、なるべくご理解がいただけるようにニュースの編集も心がけますので、ご協力ください。

今年もBCのニュースは硬派で!

 とは、言うものの、ゆめやのニュースは「固すぎる」「字が多くて読む気にならない」「辛口すぎる」「本の紹介が少ない」というようなご批判を多々受けます。中には「若いお母さん方には受けないだろうから、もっとかわいいイラストやキャラクターを入れて子育てクラブのリリースのようにしたほうが読まれるかも。」なんてご忠告をいただくこともあります。しかし、この二十年、私はさまざまなご批判を考慮しつつもソフト路線を取りませんでした。なぜかというと「固さ」での「狙い」もあるのです。読まない人は読まなくていいという狙いです。・・・???・・・どういうことかというと顧客の選別・・・つまり質の高いお客様が得られればブッククラブもうまく行くのです。だから、どうしてもグレードの高い親御さんでなければ困るのです。ギャルママやブログママでは子育てもいい加減になってしまうわけですし、発信したものへの理解力の高さがないと共通理解が生まれません。だから、ゆめやのブッククラブは、保護者であるお父様、お母様に視点を向けています。プログラムや発送の宛名もご要望がないかぎりお母様の名になっていますし、ニュース・新聞の内容もすべて親向けになっています。つまり発信する対象は親であって子どもではないことを示しています。なぜかと言うと、絵本の読み聞かせは子育ての一部であり、「絵本の選書、与え方などを通して子どもの成育環境をどう考えるか」というものであるからです。「固く」「辛口で」「字が多い」頑固なニュース内容もまた、ある意味、ブッククラブ側からの「選別」の手段でもあるのです。
 つまりは、お客様は神さまではなく、「客が店を選ぶなら店が客を選んでもいいじゃあないか!」という不遜な気もあるのです。何も全世界の親を顧客にしようなどという市場原理でブッククラブをやっているわけではありません。短い人生・・・濃密に接する人数が決められているなら、しようもないひとをたくさん巻き込むより、少人数でもきちんと交流しておつきあいしたほうがいいですし、また、絵本の読み聞かせや子育ての効果は、そのほうが上がると思うのです。ま、こういう時代、儲かるからといって客数を増やして、ゴタゴタを多くするより、そういう人は避けて、優れたお客様と付き合ったほうが得策というものです。子どもの劣化が叫ばれて久しいのですが、親だって劣化しているわけで、劣化した親をどうにかできるなら困ることはない。でも、どうにもならないなら、相手にしないことが一番いいのではないかと思うのです。分っている人、わかってくれる人だけでじゅうぶんということでしょう。
 小さな絵本屋がこの国を変えることなどできませんので、バカは相手にしないで、わかる人だけで行こうということです。

選書に込めた思いを理解してもらう

 「本を与える意図」をご理解いただけるような方でなければ、とても家庭の中で質の高い子育てや子どもに与えるものの選別などできるわけもないことは自明の理です。「選ぶ」ということは何でもバンバン与えることではないですし、絵本の読み聞かせは字を早く読めるようにすることではありません。でもね。いるのですよ。BC内部にもけっこう。おもちゃや絵本で量攻めする親、「もっと分る、もっと分る!」とやたらと高レベルの本を要求する親。かと、思えば、無差別にサブカルチャーのものも配本の絵本も与えて「バランスを取ろうとしている(?)」親・・・・たしかに幼い子どもは何でも呑み込みますから、理解しているように、あるいは操作などに習熟しているように見えますが、大人になるまでに、そういうものの影響がどう出るかも、そういった親は考えないのです。子どもを育てた結果は長い時間の果てにしか出ませんが、けっきょく「それなり」の結果になるでしょうから、やはり何らかの考え方をもって子育て環境を固めておく必要はあると思うのです。そうでなければ、いくら質の高い選書をしても意味がありません。また、それに沿って子育てもしてもらわなければ、思うような結果は得られません。こちらとしては、発達に応じてこれ以上のレベルのものはないという段階で選書をしているのですが、なかなか、その理解は得られません。
 あれほど「サブカルチャーはダメだ!」と言っているのに、子どもの関心を買うために何でもする親がいます。「家庭も覗いていないのに、なんでそんなこと分る!」・・・と言いますか!? 分りますよ。
 トーマスランドで撮った写真、家の壁に貼られたピカチュウの絵、親子そろってのディズニーランド内の姿、本棚から覗くシマジロウ・・・・写真年賀状は家庭覗きの宝庫です。ははは。でもまあ、そういうのは親バカで、バカ親までは行っていないでしょう。
 最近は質の高い絵本の内容が読み取れない親たちも出てきているのです。「かさじぞう」の本を配本したら「売れ残りの笠をお地蔵さんにかぶせて、いろいろもらうというのはどういうものか?」などというトンチンカンな質問をされました。資本もかけずに給料が入ってくるサラリーマンをしていると、売れ残った困惑や売れ残りに対する思いも共感が出てこないのでしょうね。同じようなことはサンタクロースについても常識以下の読み取りをしている親が出てきていて、困ったものだと思っています。これはバカ親の部類に入るかもしれません。
 昔よりはるかに高学歴になったというのに・・・・人間の頭はバカになっている。だから、そういう人や深く考えることのない人、すぐに周辺情報に流されてしまう人などはどうでもいいわけです。「真剣に考えて子育てできるような人がブッククラブ選書をご利用してくれればいい」と考えますし、関心のない方や見かけの楽しさ・華やかさに行きたい人まで巻き込もうなどと大それたことは思ってもいません。だいいち、ブッククラブの個別システムは人数が一定以上増えればパンクしてしまうのです。

家庭と家族を壊す流れがあるのを知ってもらいたい

 でも、多くの写真年賀状にある子どもや親の表情からは家族や家庭の崩壊など微塵も感じられませんが、それはブッククラブに参加されている方々(親)が子どものことを考え、家庭を保つ努力をしているからで、社会全体では家庭や家族を壊そうとする力がどんどん増しているのです。この十年で「階級の分化」がかなり進みました。経済的にもですが、意識レベルでもかなりの高低ができています。低いほうの人々は、基準となるモラルや社会での人間関係を保つルールが学習できなかったために、何でもありの意識に傾いてしまっている階層です。意識の高い階級でも情報洪水や市場の多様化で混乱が起きています。これらは、家族や家庭をバラバラにする力の一つなのではないでしょうか。
 実際、民法から始まって、かなりの法律が家庭や家族を解体する方向を進めていますし、労働形態や個人の権利意識は家庭や家族を変質させるというよりは崩す方向にあります。嫁に行った娘にも親の財産の相続権があるということは実家を継いだ人にとっては大変なことで、親の死によって家が壊れてしまうことも少なくありません。労働の形も昔は自営や農業人口が多かったので、子どもが視野に入った形で行われていましたが、いまや乳幼児を長時間預けて働くことがあたりまえの世の中になっているため子どもがなかなか親の視野に入らないことも出ています。以前に比べてはるかに家族や家庭は求心力を失っているといえるでしょう。内側からも外側からも壊されていくプロセスの中にあるからです。詳しくは書けませんが、よほど意識しないと家族・家庭は大変です。若い人の中には、そういうことを早々と想定して、結婚や子どもを持とうとしない人も増えています。
 ところが、残念なことに(笑)、私達は幸か不幸か家庭を持ち、家族を作ってしまったわけです。壊すわけにはいきません。だから何とかあがくわけです。
 ニュースを硬派にする理由は、「この時代、確実な方向で子育てや家庭のあり方を考えてもらいたい」と思うからです。おかしなことが平気で大手を振って歩いている時代です。多くのメディアがそれに乗り、みなさんの周辺の常識になりつつある。その異常な常識がまたおかしなものをうみだしてしまっています。ボーっとしていると、そのおかしなことがあたりまえになってしまいますので、別の角度から物申す必要はあるのではないでしょうか。そうしないと、あふれる情報洪水の中で右往左往することになります。これは子どもの未来を悲しいものにする可能性が高いので、やはり現状を別の面から考えることは大切だと思うのです。

かなりきつくなる子育てと家庭

 十数年前から目立ち始めた階級の分化や少子・高齢化は倫理面での崩壊をともなって加速し始め、あと十年もすればひどい結果をもたらしそうです。実際、十年前に比べれば、子どもが置かれている状態はかなり過酷なものがあります。つまり世の中の流れに多くの家庭が乗せられているからですね。そして、誰も何も言えない状態になっています。
 メディアは「2012年マヤ暦による人類滅亡」をおもしろおかしく報道していますが、十年前も「ノストラダムス」で盛り上がっていました。不安に付け込んで視聴率をとろうという下劣なものです。ノストラダムスが当たらなかったように「2012マヤ暦による人類滅亡」もありません。
 まあ、人間の勝手で自滅に行くとするなら倫理崩壊で人間関係が壊れ、強欲で資源が枯渇し、何もかもを肯定してしまう機運で実際に社会が内部から混乱が始まるでしょう。それは2020〜30年くらいです。いまの子どもの多くは大人になりつつあります。なぜ、そんな数字が言えるのかというと、仮想現実(遊びも教育も)で育った親が子どもを育て始め、「したいことをする」環境の中でその子ども達が育つ。子どもは現実の厳しさを学習できませんから、親子ともどもモラルハザードになる時期がだいたいあと15年くらいということです。その混乱まではまだ時間があります。

それでも子どもは希望を生む

 バブル期のような経済成長はありませんから、バブルを夢見る生活もそうでない生活もどちらもかなりきつくなり、子どもは生活の中心から外側に追いやられることも起きてきます。親は子どもに何も伝達できなくなり、子育てと家庭は形だけのものになる可能性が大きいです。前述のような見かけの子育て、見かけの家庭・・・・それに気をつけて実体のある子育て、家庭にしていこうじゃありませんか。とは言っても、かなりの階級で家庭や家族は壊れていくかもしれません。でもね。せっかく、この世でたった一度だけ出会った家族なのですから、出会いは大切にというわけです。
 ということで2010年も始まり。今年はゆめやもゴタクを並べ続けて30年。3月3日で31年目に突入です。続けてこられたのは、おそらく、毎日毎日、目にするたくさんの子どもの笑顔・・・このニュースに掲載した子どもの笑顔や年賀状にあふれる微笑みでしょうね。子どもの力は大人に未来を見せてくれる大きなエネルギーです。あたりまえのことですが、子どもがいなくなれば世界は続きません。大人の強欲で資源や物をわずかな期間で消費してしまっていいのかどうか。子どもはそれを考えさせてくれる存在でもあります。
 今年も異論、反論、オブジェクションを展開します。ご協力くださいませ。
 ゆめや

(2010年1月号ニュース・新聞本文一部閲覧)

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